「建設業界」M&A取引金額が過去最高に 

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写真はイメージです

2022年の建設業界のM&A取引金額(発表ベース)が、半年ほどで早くも2013年以降の10年間で過去最高を更新した。

通信工事を手がけるミライト・ホールディングス<1417>による西武建設の子会社化(620億円)や、セメント事業や医療関連事業を手がける麻生(福岡県飯塚市)による大豊建設<1822>の子会社化(403億円、7月の予定)、清水建設<1803>による日本道路<1884>の子会社化(222億円)などの100億円を超える大型案件が相次いだためだ。

不成立に終わったものの、前田建設工業や前田道路などの持ち株会社であるインフロニア・ホールディングス<5076>が、海洋土木大手で持ち分法適用関連会社の東洋建設<1890>に対して実施したTOB株式公開買い付け)でも、買付代金は最大579億円に達する見込みだった。

東洋建設については、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(YFO、東京都港区)が6月下旬をめどにTOBを始める方針で、通期ではさらに取引金額が膨らみそうだ。

東洋建設を巡る動きが活発化

M&A Onlineが、全上場企業に義務づけられた東証適時開示情報のうち、経営権の移転を伴うM&A(グループ内再編は除く)について、M&Aデータベースの情報を基に集計した。

それによると2022年の建設業界のM&A取引金額は1832億円で、2020年の1123億円を上回り過去最高を更新した。インフロニアによる東洋建設へのTOBを除いても(1253億円)、トップの座は変わらない。

取引金額の最も多かったのは、ミライトが西武ホールディングス<9024>傘下で総合建設業(ゼネコン)の西武建設(東京都豊島区)の株式95%を取得し子会社化した案件で、主力の通信工事需要が減少する中、街づくり関連やグリーン発電などの成長領域で事業展開を加速するのが狙いという。

話題性が高かったのは東洋建設を巡る動き。インフロニアは東洋建設株の20%余りを保有しており、TOBを通じて完全子会社化を目指していたが、東洋建設の株価がインフロニアが提示した買付価格770円を上回る高値圏で推移し、予定通りに株式を買い付けられなかった。

TOBを計画しているYFOはインフロニアによるTOB開始直後から、東洋建設株を買い進めており、保有割合は27.19%に達し、東洋建設の筆頭株主になっている。

一方、取引件数は14件で、2021年の50件を大きく下回っているが、年間では2019年の30件、2020年の31件並みには達しそうだ。

14件の内訳は同業種企業による案件が6件、異業種企業による案件が8件で、業界再編の動きとともに、他業界からの参入の動きも見られた。

2022年の建設業界のM&Aデータベースはこちら

文:M&A Online編集部

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