公開日付:2022.01.23
2021年の「喫茶店」の休廃業・解散が初めて100件に達し、過去最多を記録したことが東京商工リサーチの調査でわかった。
大手チェーンや「コンビニコーヒー」との競争に加え、昨今の輸入コーヒー豆の高騰も痛手となった。コロナ禍で生活様式が変化し、商談や「時間つぶし」、「勉強」などの需要も減っている。先行きが見えず、債務超過に転落する前に廃業を決断したとみられる。
オミクロン株の流行拡大で、1月に入り「まん延防止等重点措置」が東京などに適用された。在宅勤務が増え、需要回復は期待できない。2022年は廃業だけでなく、息切れによる倒産増の可能性も高まっている。
2021年の「喫茶店」の休廃業・解散は100件(前年比26.5%増)だった。調査を開始した2000年以降、最多だった2018年(84件)を大幅に上回った。
一方、2021年の「喫茶店」の倒産は61件(前年比8.9%減)にとどまった。コロナ関連の休業補償金や持続化給付金、ゼロ・ゼロ融資などの資金繰り支援が下支えした。
休廃業・解散と倒産の合計は161件で、これまで最多の2020年(146件)を15件上回り、過去最多となった。
「シロノワールぜいたくピスタチオ」など新商品が好調な「コメダ珈琲店」を展開する(株)コメダホールディングスは、2021年3-11月の連結営業利益が前年同期比36.8%増の58億4700万円だった。
一方、「ドトール・コーヒー」やレストランを運営する(株)ドトール・日レスホールディングスの2021年3-11月の連結営業利益は9億2100万円の赤字。また、「サンマルクカフェ」などの(株)サンマルクホールディングスの2021年4-9月の連結営業利益は27億900万円の赤字だった。「喫茶室ルノアール」の(株)銀座ルノアールの2021年4-9月の連結営業利益は6億6400万円の赤字といずれも苦戦し、大手でも明暗が分かれた。
オミクロン株の流行拡大で「まん延防止等重点措置」の適用地域は拡大が続く。
再び、在宅勤務が増え、外出する人も減ることが予想され、喫茶店は冬の時代に逆戻りしかねない。さらに、とどめを刺すようにコーヒー豆や他の食材も高騰している。
コロナ禍で喫茶店の経営環境は厳しさを増す一方だ。コロナ関連の支援効果が薄まると廃業の前に倒産の増加が先に顕在化してくる事態も危惧される。