M&A仲介協会、三宅代表理事が引責辞任 後任に荒井氏

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売上高不正計上で引責辞任

M&A仲介業自主規制団体の「M&A仲介協会」は、3月1日付で三宅卓代表理事(日本M&Aセンターホールディングス社長)が辞任したと発表した。後任には荒井邦彦理事(ストライク社長)が就いた。三宅氏の辞任理由は日本M&Aセンターで発覚した売上高不正計上に伴う引責で、同日の理事会で決定した。

大手5社で2021年10月に設立

M&A仲介協会は2021年10月にM&A仲介上場5社で設立。経済産業省が策定した「中小M&Aガイドライン」に基づく適正な取引ルールの徹底、M&Aにかかわる人材育成の支援、苦情相談機関の設置などを通じて、M&A仲介の質とモラルの向上を目指している。

M&A仲介業界で初となる自主規制団体の設立は、中小企業庁が2021年4月に取りまとめた「中小M&A推進計画」の目玉施策の1つ。8月に運用が始まったM&A支援機関の新たな登録制度と並び、M&Aの促進に向けた官民連携の強化を象徴する試みで、初代の代表理事には業界最大手の日本M&Aセンター代表の三宅氏が選ばれた。

しかし、協会の本格的な活動開始を前にした昨年12月末、日本M&Aセンターで売上高の前倒し計上問題が発覚。外部の専門家らによる調査委員会が2022年2月14日に公表した調査結果では、成約前の仲介業務の最終契約書の写しを偽造するなどして売上高を前倒し計上した不正が過去5年間で83件に上ることが分かった。

日本M&Aセンターに厳重注意と再発防止を勧告

三宅氏は調査結果の公表から1週間後の2月21日、協会側に代表理事を辞任する意向を伝えていた。協会は理事会の決議に基づき、会員企業である日本M&Aセンターに厳重注意と再発防止の徹底を求める勧告を行った。

三宅氏は辞任後、「M&A仲介の自主規制団体としての活動開始に向けて準備をしているさなかでの不祥事によって、当協会の入会希望者の皆様、ひいてはM&A仲介を営む皆様には多大なるご心配、ご迷惑をおかけし誠に申し訳ございません」とのコメントを発表。M&A仲介を利用した、あるいは利用を検討している事業者に向けても陳謝した。

問われる存在意義、信頼回復が急務

発足から間もないタイミングで代表理事が率いる会員企業の不祥事が露呈したことで、協会の存在意義を問う声もある。ただ、中小企業経営者の高齢化で事業承継が喫緊の課題となっている現状では、安心してM&Aに取り組める基盤固めが欠かせないのも事実。さらに、成長過程にあるM&A仲介業界において、上場5社が培ってきた貴重なノウハウを業界全体に普及させられる仕組みを持つ協会の役割は大きい。

すでに会員企業の募集が始まり、4月には苦情相談窓口の設置も予定されている中、協会にとってはM&A仲介業者と中小企業者などの信頼を取り戻すことが急務。新体制の下では、より厳格な組織運営に徹する姿勢が求められそうだ。

文:M&A Online編集部

関連リンク:
・代表理事異動のお知らせ(MAIA)
・会員に対する勧告等について(MAIA)
・調査委員会の調査報告書の受領及び公表に関するお知らせ(日本M&AセンターHD)

M&A Online編集部

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「M&A仲介協会」が7日、東京都内で記者会見を開いた。三宅卓代表理事(日本M&AセンターHD社長)は「国内中小企業経営者の高齢化が進み、後継者未定の中小企業が127万社もある。協会設立で事業承継を増やし、優良企業を残したい」と抱負を述べた。