インフロニア・ホールディングスは20日、海洋土木大手で持ち分法適用関連会社の東洋建設に対して実施していたTOB(株式公開買い付け)が不成立に終わったと発表した。前田建設工業を傘下に持つインフロニアは東洋建設株の20%余りを保有。TOBを通じて完全子会社化を目指していたが、東洋建設の株価はインフロニアが提示した買付価格770円を上回る高値圏で推移し、予定通りに株式を買い付けられなかった。
インフロニアは3月23日にTOBを始め、5月19日に終了(買付期間を一度延長)した。買付予定数の下限は所有割合46.47%にあたる4383万7790株としていたが、応募株式は1割程度の405万1830株にとどまった。
東洋建設を巡ってはインフロニアに対抗する形で、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス」(YFO、東京都港区)が買収をかねて提案中。YFOが提示した東洋建設株の買付価格は1000円で、東洋建設の賛同を前提として6月下旬をめどにTOBを始める方向となっている。
YFOはインフロニアによるTOB開始直後から、東洋建設株を買い進めた。直近の大量保有報告書によると、すでに保有比率は27.19%に達し、インフロニアと入れ替わり、東洋建設の筆頭株主に躍り出ている。