2022年はコロナを克服できるのか。治療薬の効果は?

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写真はイメージです

日本で初めてとなる軽症から中等症向け新型コロナウイルス感染症の飲み薬が2021年末に使用できるようになった。日本政府は160万人分を調達する契約を結んでおり、これまで日本国内の感染者数(170万人強)を見ると、十分な量といえそうだ。

ただ効果は、1日2回、5日間の服用で、低下する入院、死亡リスクは30%ほどのため、これでコロナ前の生活が完全に取り戻せるというわけにはいきそうにない。引き続き感染予防対策は必要だ。

それでも、自宅で服用できるとなると、生活の自由度は大きく高まる。さらに低下するリスクの30%というのは重症化する可能性の高い人たちを対象にした臨床試験の結果であり、重症化しにくい人たちのリスクはもっと低くなりそう。

2022年は完全でないにしてもコロナ前の日常を多少なりとも取り戻せそうだ。

予防や感染防止などの効果も

承認されたのは大手製薬会社メルクの日本法人MSD(東京都千代田区)が製造販売承認を申請していた飲み薬タイプの新型コロナウイルス感染症治療薬「モルヌピラビル(商品名=ラゲブリオカプセル)」。

肥満、高齢(61歳以上)、糖尿病、心疾患などの重症化リスク因子を一つ以上持ち、軽症から中等症の新型コロナウイルス感染症の入院していない成人患者を対象にした第3相臨床試験の中間解析の結果に基づいて申請が行われていた。

モルヌピラビルは他の薬剤との併用や食事に関する制限、腎機能や肝機能障害における用量の変更の必要のない単剤療法として試験が実施されており、予防投与、治療、感染防止などのいくつかの臨床試験前の実験でも活性が確認されているという。

現在、日本では新型コロナウイルス治療薬として「モルヌピラビル」のほかに、「レムデシビル」「デキサメタゾン」「バリシチニブ」「カシリビマブ/イムデビマブ」「ソトロビマブ」の5種が承認されている。

「レムデシビル」はエボラ出血熱治療薬、「デキサメタゾン」は感染症や肺炎などの治療薬として用いられているステロイド薬、「バリシチニブ」は関節リウマチ薬。「カシリビマブ/イムデビマブ」と「ソトロビマブ」は中和抗体薬。

そして今回承認された「モルヌピラビル」は、ウイルスのRNAを構成する物資と構造が似ている別の物質を、ウイルスに取り込ませることでウイルスの増殖を抑えるタイプとなる。

日常を取り戻せる日は

このほかに、日本政府は、米国の大手製薬会社ファイザーが開発中の新型コロナウイルス感染症治療薬「PF-07321332/リトナビル」を、薬事承認を条件に、200万人分を購入することでファイザーと合意している。

さらに、日本企業としては、塩野義製薬<4507>が新型コロナウイルス感染症の飲み薬の臨床試験に入っているほか、富士フイルム富山化学(東京都中央区)も、インフルエンザ治療薬としての承認を得ている「アビガン」で、新型コロナウイルス治療薬としての第3相臨床試験を行っている。

モルヌピラビルに続き、これら治療薬が承認されれば、選択肢が広がり、新型コロナウイルスがインフルエンザウイルスのような存在になることも予想される。日常を取り戻せる日は遠くはないかもしれない。

文:M&A Online編集部

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