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キャラメルボックスのネビュラプロジェクト倒産にみる芸術と経営

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キャラメルボックスの作品は、一貫して「わかりやすさ」にこだわっており、人の可笑しさや悲しさを温かい目線で見つめていました。これは宮崎アニメの世界観そのもの。それが若い女性を惹きつけたのです。

容疑者xの献身
人気小説「容疑者xの献身」を舞台化(プレスリリースより)


作品創造のシステム化に至らなかった

演劇がヒットする要素は2つあります。1つはスターがいること。もう1つは、普遍的な作品を安定して供給することです。

前者の典型的な例が役者にファンをつける歌舞伎です。後者が全国に専用劇場を設ける劇団四季です。この2つは、演劇のヒット要素をシステム化し、末永く集客できるプロセスを作り上げました。

キャラメルボックスは、上川隆也さんというスターが一般的な認知を獲得し、成井豊氏が優れた作品を生み出して長期的な集客に成功しました。

宣伝活動やマーケティングも先進的でした。演劇ジャンルでいち早くDVDに注目し、販売しています。2015年にはDMM.comで公演映像の配信サービスも開始していました。

高校演劇部でも人気があり、一部作品の台本を出版して上演しやすい形にしています。演劇振興に貢献しつつ、キャラメルボックスファンの裾野を広げていったのです。

しかし、結果としては34年で幕を閉じることとなりました。成井豊氏の作家性に依存してしまい、作品を生み出すプロセスをシステム化できなかったことが、衰退を招いた原因の一つと考えられます。

また、2.5次元というマンガ・アニメと演劇を融合させた新しいエンターテイメントが、女性客を刈り取りました。この演劇形態は台本を人気マンガ・アニメに依存しているため、作品を安定的に舞台化することができます。

演劇をシステム化しなければならないのはなぜでしょうか。

収支モデルを正確に組むためです。

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