営業継続は問題ないが、懸念も…

国内で販売している衣料品も、日本人と米国人の体型が異なることから日本仕様の商品を国内メーカーから独自調達している。主力商品のスーツ、スラックスなどはダイドーリミテッド、下着やナイトウェアは2020年5月に民事再生手続きを開始したレナウンなどが生産。米ブルックスブラザーズからの供給が止まっても、主力商品の調達に問題はない。

米国から輸入しているのはシャツなどのカジュアルウェアに限られており、米ブルックスブラザーズの営業も続いていることから商品供給もこれまで通り続く見通しという。

これは2017年9月に連邦倒産法第11章の適用を申請して経営破綻した米トイザらスと、アジア現地合弁のトイザらス・アジア(香港)傘下だった日本トイザらスの関係に似ている。米トイザらスが保有していた現地法人株が他社へ移転しただけで、独自に商品調達していた日本トイザらスに大きな影響はなく、現在も日本国内で営業を続けている。

ただ、ブルックスブラザーズジャパンの今後が順風満帆とはいかないだろう。新型コロナウイルス感染症の拡大で、通販を除く国内小売業は深刻な打撃を受けた。アパレルも例外ではない。

さらにコロナ禍に伴うリモート勤務で、働く人の服装がカジュアル化した。在宅で仕事をするのであれば、スーツやジャケットは不要だ。今後、リモート勤務が定着すれば、ブルックス ブラザーズが得意とするオフィスウェア需要が先細るのは避けられない。ポロシャツやチノパンといったオフィスカジュアルの商品もあるが、「自宅で勤務するのなら、安価なユニクロで十分」というユーザーも多いはずだ。

事実、ブルックスブラザーズジャパンでは米ブルックスブラザーズの経営破綻と関係なく、8月30日までに沖縄アウトレット店や羽田空港第一ターミナル店、青山店など国内10店舗の閉店を決めている。

8月に閉店する「青山店」。9月には近隣に新旗艦店「表参道店」がオープンする(同社ホームページより)

9月4日には「ブルックスブラザーズ 表参道」をオープンするが、消費の冷え込みを受けて店舗のリストラは加速している。直接の影響はないとはいえ、ブルックスブラザーズジャパンにとって米ブルックスブラザーズの経営破綻は決して「対岸の火事」ではない。

文:M&A Online編集部