発展するIT技術が特にホワイトカラーの仕事を奪っていくと言われるようになった背景に、2015年12月に野村総研がオックスフォード大学との共同研究として発表した推計があります。簡単に言えば、特別な知識・スキルが不要な職業や、データの分析や操作の多い職業はAIやロボットで代替され、創造性や協調性が重要だったり、人間同士の理解や交渉が必要な職業は代替されにくいというものです。結果として、10~20年後に国内労働人口の49%の職業について、AIやロボットで代替される可能性が高いという推計がなされています。経理などの事務職は無くなっていく職業の代表格で、逆にソムリエやデザイナーなどは代替されにくい職業です。
「アナタの仕事は無くなるよ」と言われれば不愉快でもあり、私のいる会計士業界でも「会計士の仕事は無くならない!」と主張しています。一方で、機械化で人間の仕事がなくなっていく流れは産業革命以来ずっと続いており、職業の栄枯盛衰は必然とも言えます。もちろん悪いことばかりではなく、機械による大量生産が無ければ現代の便利な生活はあり得ませんし、奴隷問題や労働災害を抑制するうえで機械が果たした効果は計り知れません。
私が社会人として仕事を始めたのは約20年前ですが、そのころは携帯電話が出始めで、もちろんスマホは無く、ようやくノートPCが持ち運べるようになってきた頃でした。メールはあっても大きなファイルは送信できず、データの入ったフロッピーディスクを現場に持っていく「おつかい」は新人の仕事でした。皆さんご存知の通り、この辺りの仕事スタイルは様変わりしましたし、実際に私が仕事で伺う会社にも20年前にはなかったビジネスが多いことを思えば、49%の職業がIT技術にとって代わられるというのは、あながち外れていない気がします。
仮想通貨による資金調達方法、ICO(Initial Coin Offering)を紹介。会計処理上でのICOの考え方、ICOを行ったメタップスの会計処理の事例も交えながら考察します。