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機関投資家はなぜ「アルヒ」を買い増しするのか

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強みその1「フラット35で9年連続トップ」

アルヒのフラット35の融資実行件数は9年連続トップ。2018年の融資実行件数の約4分の1(約26%*(3))を占めている。しかも「業界最低水準の金利」(2019年6月時点での実行金利は1.210%)であり、事前審査は最短1営業日、本審査も最短3営業日で「スピーディーな融資」とくれば、アルヒが選ばれるのもうなずける。

販売力も大きな強みだ。全国155の拠点(2019年3月時点)で住宅ローン専門の店舗展開を行っている。

*(3)ARUHI住宅ローン HPより

強みその2「リスクを最小化したビジネスモデル」

住宅ローンを専門に扱う会社ー「モーゲージバンク」の仕組みはこうだ。アルヒでオリジネート(貸付)した住宅ローン債権は、原則として住宅金融支援機構や信託銀行などに債権譲渡する。その後、住宅ローン債権を裏付け資産とする住宅ローン担保証券(モーゲージ・バックト・セキュリティ)、または信託受益権が発行され投資家に販売される。

つまり、アルヒ自身はローン貸付に伴う金融リスク(金利変動リスク・資金調達リスク・信用リスク)を ほとんど取ることなく、住宅ローンを提供できるのだ。

アルヒが融資した住宅ローンの債権は原則として債権譲渡され、媒介または代理で販売した住宅ローンの商品は貸借対照表(バランスシート)に計上されない。また、住宅支援機構や信託銀行などの金融機関から委託を受けて、債権譲渡後の住宅ローンに関する債権の管理回収を行っている。

アルヒは、あくまでもローンの貸付や債権を請け負う手数料(フィー)型ビジネスである。ローンの金利から収益を生み出すモデルではないため、市場の金利変動などのリスクを受けにくい。

このように、アルヒは年間約20兆円と言われる住宅ローン市場で、金融危機や東日本大震災など外部環境の変化にも大きく影響を受けず、着実な成長を実現してきた。

不正利用疑惑が発生したアルヒ

しかし今年5月に、フラット35の資金使途が自己の居住用ではなく投資用に使用されたという不正利用疑惑が生じた。年間300億円弱の補助金を国から受けているフラット35は、本人や親族が住む住宅の購入資金を融資するものであり、不動産投資目的の利用は認めていない。

これを受け、アルヒもフラット35の審査を厳格化。さらに住宅金融支援機構と組んで融資の調査に乗り出したのだが、その過程で投資用物件への流用が疑われる案件が見つかる事態となった。

その結果、アルヒは連休明けの5月7日に制限値幅の下限(ストップ安水準)まで売り込まれ、翌日の8日も5%超も下落した。

しかし、アルヒは5月14日の大引け後に決算を発表。2019年3月期の連結税引前利益は前期比20.5%増の62.6億円。2020年3月期も前期比12.1%増の70.2億円に伸びる見込みであり、5期連続で過去最高益を更新する見通しであると発表した。

上場年度の2018年3月期からの税引前利益の年平均成長率は、+16.2%の見込み。決算発表後に株価は大幅に上昇し、その後も堅調に推移している。

フラット35の不正利用という悪事が露呈したアルヒだが、機関投資家などは買い増しを続けている。それは5期連続最高益という好決算だけが理由ではないようだ。

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