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手形交換高はピーク時の1割以下に。手形・電子債権の動向調査

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公開日付:2018.04.17

 2017年(1-12月)の手形交換高は374兆1,580億円(前年比11.8%減)で、2年ぶりに減少した。手形交換高がピークだった1990年の4,797兆2,906億円に比べると92.2%減の大幅減で、1割以下に減少した。また、手形交換所は2017年に2カ所廃止されて全国107カ所となり、ピークの1997年の185カ所から42.1%減となった。
 一方、2013年2月にスタートした全国銀行協会の電子記録債権(以下、でんさい)は急成長をたどっている。ただし、2017年の発生記録請求金額(以下、でんさい額)は14兆9,128億3,700万円(前年比33.5%増)と大幅に増えたものの、未だ手形交換高の3.9%にとどまっている。加えて、2015年1月に40万社を超えた利用者登録数は、2017年12月末までに45万2,600社(前年比1.9%増)と微増で推移し、金額の大口化に対して利用者数は頭打ちの傾向にある。
 手形は中小企業の資金決済の重要な手段で、右肩上がりで増加してきたが、1990年を境に一気に減少している。大企業が率先して手形印紙税や管理にかかる人件費などのコスト削減に取り組み、現金決済の広がりが中小企業にも波及したことが要因となっている。
 手形の減少は中小企業の資金調達にも変化をもたらしている。受取手形を手形割引や裏書譲渡に使えず、資金余力に乏しい企業は金融機関への依存度を高めている。だが、激減したとはいえ手形交換高は374兆円にのぼり、今でも手形が中小企業の資金繰りに重要なことは変わらない。

※本調査は、一般社団法人全国銀行協会の全国手形交換高・不渡手形実数・取引停止処分と、でんさいネット請求等取扱高を対象に分析した。「でんさいネット」は、全国銀行協会が設立した電子債権記録機関「株式会社全銀電子債権ネットワーク」の通称で、「でんさい」は同社の登録商標である。

手形交換高はピーク時の1割以下

 2017年の手形交換高は374兆1,580億円で、前年比11.8%減と2年ぶりに前年(424兆2,244億円)を下回った。全体のおよそ半分(49.5%)を占める大阪手形交換所は、2017年は前年比9.8%減(205兆7,942億円→185兆5,250億円)となった。
 また、手形交換枚数は5,549万枚で、過去最低だった2016年(5,942万枚)からさらに6.6%減少し、最低記録を塗り替えた。
 手形交換高はピークの1990年に4,797兆2,906億円を記録したが、バブル崩壊の91年以降急激に減少。2015年はピークの6.2%にまで減少した。2016年は特別目的会社(SPC)の活用で急増したとみられるが詳細は判明しない。

手形交換高・交換所推移
東京商工リサーチ

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