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【ALSOK】警備業を基軸に総合セキュリティー企業へ、国内外でM&Aを加速

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ALSOKの本社(東京・赤坂)

前期は6期ぶり営業・経常減益に

ALSOKの足元の業績はどうか。2023年3月期は売上高0.6%増の4922億円、営業利益13.7%減の369億円、経常利益12.4%減の392億円、最終利益17.3%減の239億円。

13期連続の増収を辛うじて確保したが、6期ぶりに営業・経常減益となり、最終減益も11期ぶりだった。東京五輪(2021年開催)関連の売上高減少や、システム関連費用の増加などが響いた。2024年3月期予想は売上高4.1%増の5125億円。各利益項目もそろって増益を見込む。

売上構成をみると、セキュリティー事業が75%と全体の4分の3を占める。総合管理・防災事業15%、介護事業9%、その他1%と続く。

大黒柱のセキュリティー事業は機械警備、常駐警備、警備輸送に大別される。ホームセキュリティーや高齢者向け見守りサービスは機械警備に含まれる。地場警備会社や、大手企業グループの警備会社を対象とする買収もコンスタントに手がけてきた。

総合管理・防災事業は建物の省エネ・スマート化、火災センサーや自動火災報知盤の施工・保守、点検サービスなどからなる。

◎ALSOKの業績推移(単位は億円)

2021/3期 22/3期 23/3期 24/3期予想
売上高 4699 4890 4922 5125
営業利益 371 428 369 386
経常利益 392 447 392 410
最終利益 250 289 239 255

介護事業の育成へ買収相次ぐ

ALSOKは警備業を起点に周辺分野に事業を広げてきた。介護事業に参入したのは2012年。基幹事業に育成するため、首都圏で介護事業者の買収を積極的に進めてきた。

2014年にあんていけあ(訪問介護)、HCM(同)、2015年にアズビルあんしんケアサポート(ACS、緊急通報サービス)、2016年にウイズネット(有料老人ホームなど運営)、2018年にケアプラス(訪問マッサージ)を矢継ぎ早に傘下に収めた。2020年に有料老人ホームなど運営のらいふホールディングスを子会社化した。

そして2020年にはグループの介護会社のうち、ウイズネット、HCM、あんていけあ、ACSの4社を統合し、ALSOK介護(さいたま市)を発足。見守りをはじめとしたセキュリティー事業との連携を強化し、在宅介護から施設介護までのトータルケアを統一ブランド「ALSOKの介護」のもとで提供するのが狙い。

「1兆円企業」を見据える

ALSOKは1965年に「綜合警備保障」として誕生した。創業者で初代社長の村井順は元警察官僚。前年に開かれた東京五輪で組織委員会事務次長として運営を担当した経験から、民間警備会社の立ち上げを決意したという。

ALSOKは2003年に制定したコーポレートブランドで、「ALWAYS‐SECURITY‐OK(いつでもセキュリティーOK)」の略。正式な社名は綜合警備保障で変わりないが、通常の社名表記ではALSOKが使われている。

同社は現行の中期計画の期間中に設立60年の節目を迎える。時期は明示していないが、長期目標として売上高1兆円を見据えている。既存事業の深化と新規事業の探索、グローバル展開が必須となる中で、その手立てとして巧みなM&A戦略が問われることになる。

◎ALSOK:主な沿革

主な出来事
1965 綜合警備保障を設立
1970 大阪万博で常駐警備を実施
1983 東京都公安委員会による警備業認定証(第1号)を取得
1998 一般家庭向けに「SOKホームセキュリティ」を開発・発売
2002 東証1部に上場(2022年、東証プライム上場に移行)
2003 コーポレートブランド「ALSOK」を制定
2008 警備業のアーバンセキュリティ(東京都中央区)を子会社化
2011 設備工事の日本ファシリオ(東京都港区)を子会社化
2012 火災防災メーカー最大手のホーチキを持ち分法適用関連会社化
2014 警備・総合管理の日産クリエイティブサービス(横浜市、現ALSOK双栄)を子会社化
総合管理業務の日本ビル・メンテナンス(東京都中央区、現ALSOKファシリティーズ)を子会社化
訪問介護のあんていけあ(東京都目黒区、現ALSOK介護)を子会社化
訪問介護のHCM(東京都港区、現ALSOK介護)を子会社化
2015 緊急通報関連のアズビルあんしんケアサポート(東京都大田区、現ALSOK介護)を子会社化
2016 有料老人ホームなど運営のウイズネット(さいたま市、現ALSOK介護)を子会社化
NTTグループのテルウェル東日本(東京都渋谷区)から警備事業を取得
2017 警備業の日立セキュリティサービス(東京都千代田区、現ALSOK昇日セキュリティサービス)を子会社化
警備業の東武デリバリー(東京都都足立区、現ALSOK関東デリバリー)を子会社化
訪問マッサージのケアプラス(東京都港区)を子会社化
2019 ビル管理の総合管財(山口県下関市)を子会社化
警備業の京阪神セキュリティサービス(大阪府池田市)を子会社化
2020 有料老人ホームなど運営のらいふホールディングス(東京都品川区)を子会社化
グループの介護会社を統合してALSOK介護(さいたま市)を発足
2022 関西電力傘下で介護事業のかんでんジョイライフ(大阪市、現ALSOKジョイライフ)など2社を子会社化
2023
6月、インドネシア警備大手シールドオン・サービスの子会社化を発表

文:M&A Online

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