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日本製鉄による東京製綱に対する公開買付けの事例を通じて考える|取引先による株式保有の問題点

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日本製鉄が入るビル(東京・丸の内)

    1.はじめに

    去る2021年3月9日、日本製鉄株式会社(以下「日本製鉄」という。)による東京製綱株式会社(以下「東京製綱」という。)に対する敵対的公開買付け(以下「本公開買付け」という。)が成立した。

    東京製綱はワイヤロープ及びタイヤ用スチールコード等の製造販売等をその事業内容としている。日本製鉄は東京製綱株式の9.9%を保有する大株主であり、同社製品の原材料となる線材を供給している大口取引先であったが、本公開買付けで東京製綱の株式をトータルで19.9%取得したものである...

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