最高裁は、2020年3月12日、X株式会社が、非上場のY株式会社(「対象会社」)を子会社化する取引の一環として、対象会社の発行済株式の公開買付けに引き続き実施し会社法179条1項に基づく特別支配株主による株式売渡請求に対し、売渡株主が、自己が保有する対象会社の普通株式の売買価格の決定を求めた事案について、株主側の特別抗告を棄却する決定を行いました。
当該事案の抗告審(東京高裁)は、「一般に公正と認められる手続により経営統合の手段たる公開買付けが行われ、その後に公開買付けに係る買付価格と同額で株式売渡請求がされた場合には、株主が公開買付けに応じるか否かを適切に判断することが期待できる以上、上記の手続において基礎となった事情に予期しない変動が生じたなどの特段の事情がない限り、裁判所は、株式売渡請求に係る株式の売買価格を公開買付けに係る買付価格と同額とするのが相当である」という原々決定(東京地裁)と同様の判断を示したうえ、非上場株式であっても、「いわゆる独立当事者間における取引については等しく当てはまる」という判断を示していました。
本決定は、一般に公正と認められる手続により取引条件が決定された場合には、裁判所は、原則としてこれを尊重するというテクモ最高裁決定及びジュピターテレコム最高裁決定の判断枠組みが非上場株式についても当てはまることを明らかにした決定として、実務上の重要性が高いものと思われます。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 川本 健
最終契約は、M&Aで交わす契約のうち最も重要な契約書です。株式交換の場合は「株式交換契約書」を締結します。ここではサンプル書式と株式交換契約書を作成する上での注意点を解説します。