SEPTEMBER 2020
オーストリア、新たな外国投資の審査基準を導入
オーストリアは、2020年7月25日に発効する外国投資の審査対象を拡大する新しい投資規制法(「ICA」)を可決しました。
ICAの対象となるオーストリア企業への外国投資は、デジタル経済担当大臣に届け出なければならず、デジタル経済担当大臣の許可を得た後でなければ取引を完了することはできません(手続は通常最長で66日要します。)。
欧州経済領域又はスイス以外の投資家は、以下の届出が必要となります。
・オーストリア企業の株式の25%以上又は50%以上の直接又は間接的な取得。但し、「機密性の高い分野」(防衛、重要なエネルギー、デジタル及び5Gインフラ、オーストリアのデータ主権に関連するシステムの運営者、水並びに医療分野の研究開発)の事業を行う企業については、さらに低い10%の閾値が適用されます。
・ICAが対象とする分野の事業を行うオーストリア企業の直接又は間接的な支配権の取得(ICAにて定義されます。)(当該企業の重要な資産の取得も含みます。)。
ただし、スタートアップ企業、従業員数10人未満の企業、年間売上高又は純資産が200万ユーロ未満の企業を含む小規模企業への海外投資は適用除外となります。
ICAに基づく届出要件又は取引完了の禁止に従わない場合、オーストリア内外での刑事上及び行政上の制裁が課される可能性があります。当該制裁は、オーストリア国内での行為だけでなく、全てがオーストリア国外で行われる行為に対しても適用される可能性があります。
本アラートは、オーストリアにおける直接又は間接の投資を考えている日本企業にも関心のあるトピックと考えられることから紹介する次第です。詳細は、Jones Day ALERT “Austria Introduces New Foreign Investment Screening”(オリジナル英語版)をご参照下さい。
弁護士 森 雄一郎
弁護士 堀池 雅之
ジョーンズ・デイ法律事務所 アラート「オーストリア、新たな外国投資の審査基準を導入」より転載
ここに記載されている見解および意見は執筆担当者の個人的見解であり、法律事務所の見解や意見を必ずしも反映するものではありません。
日本各地で猛威を振るう新型コロナウイルスを理由に、株主総会を延期することは可能でしょうか。法的観点からわかりやすく解説します。