「伊藤忠商事によるTOBが公表通りに実施され、株価は期待値に合わせて下落していく」
これが最も合理的で可能性が高いと考えられるメインシナリオです。現在の水準ではTOB実施前に市場で売却した方が確実に利益が得られるので、期待値水準までは売られるというのが最もあり得るシナリオだと思います。よって、素直に考えれば「空売りのチャンス」と言えるでしょう。
「創業家がホワイトナイトを獲得し対抗TOBに踏み切る。その結果、TOB価格の引き上げが行われ、現在の水準が正当化される」
伊藤忠商事の拒否により頓挫したとはいえ、ホワイトナイトとしてMBOスポンサーとなることを真剣に検討したファンドが存在する以上、創業家がMBOスポンサーを獲得し、対抗TOBをかけるというシナリオも否定はできないと思います。そうなった場合、昨年のソレキアをめぐる佐々木ベジ氏と富士通のようなTOB価格の吊り上げ合戦に発展することになるでしょう。
もしこのシナリオが実現したならば、現在の株価もなお割安といえます。現在の株価水準は、市場の一部にこのシナリオの実現を見込む考えが一定数存在しているとも評価できるでしょう。
しかしながら、創業家とともに検討していたファンドは伊藤忠商事との共同投資を前提としていたため、伊藤忠商事抜きでの投資に踏み切る可能性は一般的には非常に低いと考えられます。ですから、3月14日のTOB期限までに創業家が当該ファンドを説得できるかどうか、あるいは別のファンドから支援を受けられるかどうかにこのシナリオの成否はかかっています。
「株価が維持された結果、伊藤忠商事がプレミアムを引き上げる」
現状の株価では、TOBに応募するよりも市場で売却した方が期待値が高いと考えられるため、仮にこの株価水準が維持された場合、TOBへの応募が低調となり、不成立に終わってしまう可能性も出てきます。しかし、伊藤忠商事としては特別決議拒否権の確保は何が何でも必要と考えられますので、そのような場合はプレミアムを引き上げ、市場で売却するよりもTOBに応募した方が期待値が高い状況を作り出すことを迫られることになるでしょう。こちらも可能性は低いと考えられますが、ゼロとは言えないと思います。
文:巽 震二(マーケットアナリスト)
かつては商取引に欠かせない存在だった手形。手形交換高はピーク時(1990年)の4,797兆2,906億円に比べ2017年は1割以下(374兆1,580億円)にまで減少した。
最近はサラリーマンやOLの副業が盛んのようだ。マイナンバーの導入で副業はバレるのだろうか。マイナンバーと副業税務はどうなっているのだろう。