順豊エクスプレス創業者、王衛総裁【中国経営者シリーズ30】
今回は中国の大手民間物流企業、順豊エクスプレスの創業者・王衛総裁を紹介する。
一人っ子ということもあり、小さい頃から後継ぎになることを意識していたという大西さん。大学卒業後は大手通信会社に就職し、熊本や福岡で勤務。その後結婚・出産を経て後継になることを決めました。
大西さん「小さい頃は『扇子で食べていけるのか?』という単純な疑問と、家業に対する恥ずかしさ的なものを感じていました。でも、社会人になって初めて京都を出たことで、改めて京都の素晴らしさや扇子を作るという家業の素晴らしさを感じるようになりました。
また、自分自身が社会人になり子どもを生んで、これまで両親が味わってきたであろう苦労も痛感するようになったんです。大学時代には多額なお金をかけて町家を改修したこともあり、これから事業を継続させていくためにも『自分自身がしっかりと両親の想いを引き継がねば』という強い意志を持つようになりましたね」
大西さんが後継として家業に入ってまず行ったことはIT革命でした。昔からの体制が続いており、注文はファックス、在庫管理も全て手作業とアナログな部分が多く、事業計画もない状態。効率よく仕事を行うためにもITツールをフル活用しながらさまざまな改革を行いました。
従業員や職人さんは年配の方が多く、はじめは苦戦していましたが、スマホで簡単に使えるツールを利用することで徐々に浸透していきました。その結果、棚卸しの効率化や業務時間削減などあらゆるコストカットに成功したのです。
続いて大西さんが取り組んだことは、季節商品である扇子を気温や季節にかかわらず販売できるビジネスモデルへと転換することでした。扇子は4月〜9月での販売数が年間売上の8割を占め、気温や季節要因に非常に左右されやすい商品。しかし、扇子は一つひとつ手作業で作られるため完成までに半年以上かかり、事前に販売個数を予測することも難しいのが課題でした。
季節に囚われない新商品開発のヒントになったのは、「扇子の骨」でした。
大西さん「扇子に匂いをつけるために、扇子の骨となる竹に香料を浸す工程があります。竹の持つ毛細管現象が作用するため、香料にはほんの一瞬しか浸さないにもかかわらず、匂いは1年以上持つんです。そこからヒントを得て、扇子の骨を使ったフレグランスを作るアイデアが思い浮かびました。また、京都らしさを出すために器は清水焼、香料も京都のものを使用して、ご自宅でも和の雰囲気を楽しんでいただけるようこだわりました」
新商品販売に向けては商工会議所のコンテストやクラウドファンディングも活用。反応も好調で、自信を持って販売をスタートできるきっかけとなりました。現在はオンラインを中心に、百貨店や小売店でも販売しています。
また、大西常商店では新たにレンタルスペース事業もスタートさせました。
大西さん「うちの町家は100坪強、この大きさの京町家は四条烏丸にいくつかありますが、レンタルできるものはなかなか無いんです。私が大学時代に大規模な改修をしたこともあり、もとある資産を有効活用したいと思って始めたのがレンタルスペース事業です。アニメや歴史好きの方やコスプレイヤーのの写真撮影スペースとして貸し出すことが多いですが、最近では企業の商品撮影、研修や投扇興体験などにもご利用いただいていますね」
レンタルスペース事業に関しても、クラウドファンディングを活用したオープニングパーティーを実施。大西さんは「ファン作り」の大切さを実感しました。
大西さん「私たちの事業に共感・応援してくださる方がいらっしゃるのは本当に心強いなと思いました。ただ販売するだけではなく、もっとファンを増やすためにも発信に力を入れるようになりましたね。私が毎日着物を着ているのもそのひとつです。また、地域のイベントや行事などにも積極的に参加し、地域の方のコミュニケーションをとる機会も増えました。
扇子販売や町家ビジネスを行うことは、日本の文化を未来に継承していくこと。地域の方々と連携しながら伝統文化を守っていかなければいけません。最近は若手の職人さんを育てる事業セミナーも取り組んでいます。日本の文化や職人さんの技術、を継承するための事業も取り組んでいきたいと思っています。」
4代目若女将の挑戦により、もともと3%程度だった利益率は10%程度に上昇。何よりもうれしかったのは、「両親が喜んでくれたこと」と大西さんは話します。
大西さん「苦労している両親の姿を間近で見てきて、『両親を助けてあげたい』とずっと思っていたんです。両親は私の挑戦をいつもそばで応援してくれていました。業績が改善されてきたということはもちろんですが、父が周りの人に『娘が頑張ってくれていて』とうれしそうに話す姿を見るのは何よりも幸せで、やりがいです。
実際に家業を継いでみて分かったのは、『どんな事業であってもやり方次第で生き返らせることができる』ということ。実際私は後継になるまで、『扇子ビジネスなんて続かないんじゃないか』と思っていました。自分の実家の商売には価値がないからと、後を継ぐことを諦めている方も多いのではないでしょうか。
私は事業継承によって、家族の時間や京都での生活など、目に見えない資産をたくさん得られたと思っています。もちろん大変なことは多いですが、その分人生がより豊かになりました。私にとって事業継承は『両親への恩返し』。家族はもちろん、京都や日本文化を愛する人たちに喜んでいただけるためにも、これからもいろんな挑戦を続けていきたいですね。」
家業をただ継ぐだけではなく、未来に継承していくためのさまざまなチャレンジを行う大西さん。事業継承で大切なのは事業ではなく、「気持ち」であるとお話しされる大西さんの挑戦に目が離せません。
文・佐原有紀
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