ABABA(大阪府吹田市)は岡山大学発の採用支援ベンチャー。2020年10月に、同大大学院社会文化科学研究科1年だった久保駿貴最高経営責任者(CEO)が創業した。新卒採用は社会人になるための第一関門。首尾よく希望通りの企業に採用されればよいが、必ずしもそうはいかない。
そこで同社は、就職活動の最終面接に落ちた学生を企業間で推薦・採用できるプラットフォームの「ABABA」を立ち上げた。「ABABA」は2021年2月に「キャンパスベンチャーグランプリ全国大会」で最高賞の一つ経済産業大臣賞を受賞している。
起業のきっかけは久保CEOの学生時代の体験だ。「俺は○○社にいく。○○社に一生を捧げる」と宣言していた友人が、この会社の最終面接で落ちた途端に「もう二度と○○社が宣伝している商品は買わない」と言い放つようになった。
久保CEOは、こうした事態が生じるのは「面接で落ちてしまうとそれっきり」という採用活動にあると考えた。そこで「不採用後も企業(人事部門)と学生の関係性を良好で継続的なものにしたい」との想いから新しいビジネスを立ち上げたという。
就活中の学生にとっては、ある会社の最終面接に落ちても別の会社に紹介・採用される可能性があり、「失敗が無駄にならない」仕組みだ。採用する企業にとっても他社の最終面接まで進んだ学生を採用するチャンスを得られる。
さらには採用に至らなかった学生を他社に「推薦」することで学生に好印象を与え、「学生に寄り添う会社」として企業ブランディングの向上が期待できる。就活後半期は内定者が増えて、採用活動が厳しくなっていく。そうした時期の強力な採用ツールにもなる。
2021年4月にはABABAの学生ユーザーが1000人、企業ユーザーは100社を突破した。同社の将来性は高く評価され、シードラウンドでウィルグループHRTech2号ファンドやSetouchi Startups1号ファンドなどよる第三者割当増資で6000万円の資金調達に成功した。2022年2月2日には令和3年度の「岡山大学発ベンチャー」称号を授与されている。
文:M&A Online編集部
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