JR奈良駅の北東、若草山と、桜並木で有名な佐保川を隔てた高台の住宅地に、巨大な明治期のレンガ建築群がそびえ、広がっている。明治政府が国の維新をかけて近代化を進めた監獄、通称「旧奈良監獄」である。2021年現在は耐震工事中で一般公開はされておらず、見上げるようなレンガ塀と堅牢な門扉に閉ざされているが、ホテルとして蘇る計画が着実に進んでいる。
旧奈良監獄の前身は江戸期の1613年、現奈良女子大学の敷地内に奈良奉行所が設立され、その北側に牢屋敷ができたことに始まる...
大阪・船場の高層ビルが立ち並ぶ一角に、豪奢な佇まいを見せる商家がある。ボンドのコニシ、旧小西家住宅である。大阪を代表する表屋造りの名建築。この旧小西家住宅が2020年11月、創業150年を機に史料館としてリニューアルした。
1923年9月、日本を関東大震災が襲った。横浜はその震源地だった。震災から約4年後の1927年に誕生したホテルニューグランドは横浜復興のシンボルであり、その佇まいは明治期のグランドホテルそのもの。横浜市民は復興の希望をそのホテルに託した。
「ノリタケの森」は洋食器メーカーとして世界的に知られるノリタケカンパニーリミテドが創業100周年を記念し、2001年に開設した企業文化施設だ。広大な敷地に旧製陶工場施設などが並ぶ。その光景は、まさに日本陶業の格と質の高さを感じさせる。
1974年2月24日、滋賀県近江八幡市に本社を置く近江兄弟社が会社更生法を申請し主力商品のメンソレータムはロート製薬に譲渡された。その後、数多くの建造物を遺した創業者ヴォーリズの遺志を継いで同社は復興を果たす。