創業100年を優に超える老舗企業が数多く集積する愛知県。その中心地である名古屋駅から徒歩10分ほどのところに広がる「ノリタケの森」。洋食器メーカーとして世界的に知られるノリタケカンパニーリミテドが創業100周年を記念し、2001年に開設した企業文化施設だ。

林立する超高層ビルを借景として、芝生の公園やレンガづくりの旧製陶工場施設などが並ぶ。その景観は大都会にぽっかりと浮かぶオアシスのようだ。

数多のM&Aを展開してきたノリタケ

ノリタケの森は、ノリタケ創業の地・名古屋市西区則武新町に残る本社敷地内の旧工場群に開設した施設。企業ミュージアムやレストラン、公園施設などを設け、地元住民や観光客ら多くの人を迎えている。

そのノリタケからは、今日、錚々たる企業が生まれた。その状況は下記のM&A Online記事なども参考になる。

ノリタケ・TOTO・ガイシ・特殊陶業 「森村グループ」とは

ここで同社ホームページの沿革から、国内の新会社設立とともに同社の国内M&Aを中心に振り返ってみたい(下表)。

1904日本陶器合名会社(ノリタケの前身)を創立
1912本社工場構内に製陶研究所を設け、衛生陶器の製造研究を開始
1916国内食器販売会社の日東商会(のちのノリタケテーブルウェア)を設立
1917衛生陶器部門を分離し、東洋陶器(現 TOTO)を設立。日本陶器を設立し、日本陶器合名会社を吸収合併
1919碍子部門を分離し、日本碍子(現日本ガイシ)を設立。大倉陶園を設立
1936原料部門を分離し、共立原料(現共立マテリアル)を設立
1946日本ボーンライト製造所(現ノリタケリサイクルセンター)を設立
1958ノリタケ研削砥石販売(現ゼンノリタケ)を設立
1959研削砥石製造の広島研磨工業に資本参加
1962研削機械製造のノリタケマシンを設立
1963研磨布紙製造の日本コーテッドアブレーシブ(現 ノリタケコーテッドアブレーシブ)を設立
1967食器製造の伊万里陶業、九州陶器(それぞれ1993年にノリタケ伊万里、ノリタケ九陶に名称変更)を設立
1968汎用砥石製造の東京砥石を設立
1969電子部品製造の九州ノリタケを設立
1970岐阜製砥との共同出資により、研削砥石製造の東濃研磨を設立
1971濾過装置製造のノリタケエンジニアリングを設立
1972ダイヤモンド工具製造のノリタケダイヤを設立
1974蛍光表示管製造の伊勢電子工業(現ノリタケ伊勢電子)に経営参加
1979電子ペースト、窯業機材製造・販売のノリタケ機材を設立
1980ノリタケダイヤがクイーンダイヤに資本参加し、グループ会社に
1981日本陶器をノリタケカンパニーリミテドと社名変更
1989ファインセラミックス製品製造の三好セラミックス(のちにノリタケセラミックス)を設立
1998歯科用材料販売のノリタケデンタルサプライ(現 クラレノリタケデンタル)を設立
2000ノリタケ伊万里とノリタケ九陶を統合し、食器製造の日本陶器を設立
2001共立マテリアルの株式51%を取得し、グループ会社に
2002研削砥石製造販売のノリタケボンデッドアブレーシブを設立
2003東芝セラミックスファーネスの株式を51%取得し、社名をノリタケTCFへ変更
2009ノリタケエンジニアリング、日本陶器、ノリタケテーブルウェア、東京砥石をノリタケカンパニーリミテドへ吸収合併
2010ノリタケ機材、ノリタケセラミックスをノリタケカンパニーリミテドへ吸収合併
2011ノリタケボンデッドアブレーシブ、ノリタケスーパーアブレーシブをノリタケカンパニーリミテドへ吸収合併
2012共立マテリアルを完全子会社化
2014日本レヂボンを連結子会社化
2018日本フレキ産業を連結子会社化

ノリタケ・ホームページ「沿革」をもとに作成

ノリタケ(日本陶器)を軸として周辺産業へと多角化・拡大を進めた。2002年に、事業持ち株会社を発足させ、創業100周年(2004年)を過ぎたあたりから、社名変更したノリタケカンパニーリミテドに主要事業を集約させてきた。

その日本陶業の源がノリタケの森に永々と息づいている。そう思うと、ノリタケの森の芝生広場がより広闊に見えてくるから不思議だ。

1933年に構築された陶磁器焼成用トンネル窯の跡に立つ「6本煙突モニュメント」も芝生広場に連なる「窯壁」も、もちろん赤レンガ建造物群も風格と歴史を感じさせる。

ちなみに、一般的な呼称として知られる「ノリタケ」は、ノリタケカンパニーリミテドにおける食器商品のブランド名だ。会社としてのノリタケは1916年、日本陶器(現ノリタケカンパニーリミテド)の国内向け販売会社として設立された。その後全国展開を進め、1964年に株式会社ノリタケに改称した。以後、ノリタケカンパニーリミテドの子会社という位置づけだったが、2000年にノリタケリビングに吸収され、2001年にノリタケテーブルウェアと改称。そのため、現在は「ノリタケ」という会社は存在せず、ブランド名として使われている。