1974年2月24日、医薬品業界に大きな衝撃が走った。「え、なんで? どうしたの?」と、ぽっかりと穴の開いたような気持ちになる人もいたはずだ。滋賀県近江八幡市に本社を置く近江兄弟社の経営破綻。その社名は知らなくても、当時、同社の主力商品であった『メンソレータム』を知らない人はまずいないだろう。肌を守る塗り薬。それは近江兄弟社の主力商品を超えて、どの家庭にも1つは置いてある“国民常備薬”といえた。
その主力商品を持ってしても、当時1973年に起きた第1次オイルショックの影響は大きく、近江兄弟社の経営は傾いた...