大阪・船場の東端、南北に堺筋が通り、東西に製薬会社が立ち並ぶ道修町通りの交差点に、ぽっかりと時代に取り残されたように豪奢な佇まいを見せる商家がある。ボンドで有名なコニシ<4956>、旧小西家の住宅である。
周辺はビジネス街で、高層ビルが立ち並ぶ。100年以上にわたり、道修町で受け継がれてきた大阪を代表する表屋造りの名建築。2001年には、国の重要文化財に指定された。
かつてこの小西家住宅は、現在のコニシの旧社屋だった。1994年までは本社として使われていたという...
蚕都・上田(長野県)に現存する木造5階建ての繭倉庫。常田館製糸場はこの繭倉庫をはじめ7棟の建造物で、上田、日本の製糸業の盛衰を今に伝えている。現在は発泡スチロールやハーネス加工などを営む笠原工業(上田)の敷地内。ひときわ威容を誇る産業遺産である。
神戸の水は外洋を航行する船乗りに「赤道を越えても腐らない」といわれた神戸の水は、なぜおいしいのか。その陰には神戸港の船舶用水の給水事業を一手に引き受けていた民間会社があり、その事業を買収した神戸市の水事業に賭けた意気込みがあった。
高野山口周辺に、江戸・明治・昭和初期にかけて「再織」という手法で栄えたものの、やがて潰え、そして平成、令和に向けて復活を遂げた伝統産業がある。高野口パイル織物だ。起死回生にはどんな対応があったのか。地場中小事業者の伝統と革新の道筋を見る。
愛知県知多半島にある半田赤レンガ建物は半田市のランドマークともいえる建造物。文化庁登録有形文化財、経産省認定近代化産業遺産に指定された半田市指定景観重要建造物の第1号でもある。東海地区を代表する産業遺産だが、実は数奇な運命をたどってきた。