経済や金融業界のリアルな姿を垣間見たいのなら、映画がおすすめ! 実話をベースにした作品ではなおさら世の中の経済事件を理解するのにも一役買ってくれる。
専門用語が出てくる作品もあるが、エンターテインメントとしても楽しめる、おすすめの1本を紹介する。
本作品は、2008年に起こった投資銀行リーマン・ブラザースの経営破綻、いわゆる「リーマンショック」に至る金融危機の経緯と原因の真実に、専門家や関係者へのインタビューをもとに迫っていくドキュメンタリーだ。
1980年代以降、アメリカの金融業界は徐々に規制が緩和。一部の金融機関が金融界を支配し、1990年代に登場したデリバティブが人気商品へ。2000年以降に債務担保証券(CDO)が誕生し、格付け会社はこれらにAAAの評価を与えたことにより多額の投資が集中。非富裕層を対象とするサブプライムローンの誕生により、高騰する住宅を購入するための貸付額も増大。その結果、ウォール街のボーナスはかつてない急騰を見せていく。
しかし住宅ローンの焦げ付きが債務担保証券市場を崩壊させ、投資銀行は多額の負債を抱えることに。金融機関同士の買収や国有化による救済が進む中、リーマン・ブラザースが32億ドルの損失を発表し破綻。7億ドルに至る投資家の債権が回収不能となった。その他にもメリルリンチがバンク・オブ・アメリカに買収、AIGが政府による救済を受けたが、これらの格付けはそれぞれの処置を受けるまでA2またはAAAという高いものだった。
これらの破綻を引き起こした各機関の経営陣へは何十億というボーナスを支給された上、新たな要職に招かれ高い報酬を得る者も。多くの投資家の財産を消失させ、失業者を生んだ責任をなんら取ることなく巨額の資産を得ていた。
ブッシュ政権下で行われた減税策も富裕層にのみ恩恵を与えることとなり、オバマ政権で期待された金融改革も要職に金融危機を引き起こした張本人たちが就くことで腰砕けに。欧州から求められた銀行の報酬規制に沈黙を守ったままと、金融界に巣くう病巣は未だアメリカを蝕み続けている。
本作はリーマン・ショックに端を発した金融危機の構造と原因をわかりやすく描いている。専門的な用語を知らずとも、人の意志で積み上げられていったリスクによって、破綻が起こるべくして起こったことを理解できるだろう。ありとあらゆる手を使い私腹を肥やす事例の連続に、「美味い話には裏がある」という言葉の重みを理解できる。
「現実は小説より奇なり」を地で行くような、想像を絶するインテリ悪党が登場する本作。都合の悪いことはインタビューに応えず、金融危機に加担しているにも関わらず何の罰も受けずに財産を保持している現実に、無力感を感じずにはいられない。またその人物たちにより政府や教育機関まで取り込まれている様から、アメリカ社会が抱える絶望を垣間見ることができる。下手なサスペンスドラマよりもよほど背筋が凍る作品。
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<作品データ>
原題:Inside Job/邦題:インサイド・ジョブ 世界不況の知られざる真実
2010年・アメリカ(1時間49分)

文:M&A Online編集部
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