今週のおすすめ映画は、ジョン・グリシャムのベストセラー小説を原作とした「ザ・ファーム 法律事務所」。破格の報酬で迎え入れられた法律事務所に隠された裏の顔に気づいた新人弁護士ミッチの苦悩と決断をトム・クルーズが演じる。ミッチに迫る危機と、マフィア・FBIとの決死の駆け引きが全編にわたり緊張感をもたらすクライムサスペンスだ。
「ザ・ファーム法律事務所」のあらすじ
ハーバード大学を卒業したミッチ・マクディーアは、41人の弁護士を抱えるメンフィスの小さな法律事務所から破格の条件を提示され就職を決める。妻と共に移住し、田舎らしい家族ぐるみの付き合いに煩わしさを感じながらも平和な日々を送っていたが、ある日同僚2人がスキューバーダイビング中の事故で死亡するという事故が発生。平和な毎日に不穏な空気が流れ始める。
偶然コーヒーショップで知り合った男から、事務所内で10年の間に4人が死亡していることを知らされたミッチは不穏なものを感じ、投獄されている兄に紹介してもらった探偵に調査を依頼するが、その探偵も何者かに殺されてしまう。
ただならぬ事件に巻き込まれていることを感じるミッチの前に姿を現したのはFBI。彼らはミッチが勤める法律事務所はシカゴのマフィアとつながりを持っており、死亡した弁護士はみな事務所を辞めようとした人間であることを明かされる。
長年捜査をしてきたというFBIから持ち掛けられたのは、マフィアとのつながりを暴くための証拠となるファイルの入手。ミッチは兄の釈放と引き換えに、弁護士資格はく奪の危険を冒しながらもFBIに協力していくことを決める。
見どころその1
「真綿のように締め付ける不快感」
喜び勇んでメンフィスに移住したマクディーア夫妻を待っていたのは、全員が既婚者という41人の同僚と家具まで用意されていた新居、そして避けることのできない家族ぐるみの付き合いだった。
報酬は高く資格試験の援助も充実した恵まれた職場に勤め、自動車まで用意され夫婦で住むには十分すぎる住居を与えられつつも、その毎日に完全な自由はない。監視されているような環境への適応をやんわりと強要され続けるかのような日々の描写に、見ているこちらも息苦しくなるほど。
見どころその2
「人は誰しもが矛盾した感情を共存させている」
不正行為を暴くためのFBIからの要請に、法律家としての矜持を主張しながらも超法規的な対応と金銭を要求するミッチ。愛する夫の作戦に協力しつつも、自らを裏切った夫の行為への当てつけの気持ちを捨てない妻・アビー。不正への加担と妻との関係破綻により人生に喜びを見いだせず、刹那的な快楽に溺れる上司・エイヴァリー。登場人物の行動から、人間は誰しもが矛盾した感情を共存させて生きていることを教えられる。
<作品データ>
原題:The Firm/邦題:ザ・ファーム 法律事務所
1993年・アメリカ(2時間35分)
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