『カーライル ニューヨークが恋したホテル』

おもてなしの極意を究めるNYのアイコン的ホテル

ニューヨークのアッパー・イーストサイドにある5つ星ホテル「ザ・カーライル ア ローズウッドホテル」。このホテルの魅力を解き明かすドキュメンタリー映画『カーライル ニューヨークが恋したホテル』が、8月9日(金)に公開された。

© 2018 DOCFILM4THECARLYLE LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ザ・カーライル ア ローズウッドホテル(以下、カーライル)は1930年に創業し、歴代アメリカ大統領やイギリスのロイヤル・ファミリーに好まれ、セレブの御用達として知られている。ザ・ピエールやプラザのような華やかなホテルではないにもかかわらず、カーライルがニューヨークのアイコン的ホテルになったのはなぜなのか。マシュー・ミーレー監督が4年間通い詰め、カーライルを愛してやまない俳優、映画監督、モデル、ミュージシャンといった著名人や一般の常連客、ホテルのスタッフにインタビューし、その理由を紐解いた。

エンパイア・スイートからの眺めは絵画のように美しく、息をのむほど


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まずは世界的に有名なハリウッドスターなどの著名人がカーライルの思い出を語る。これによって観客の好奇心を作品に引き寄せながら、カーライルの魅力をアピールする。

女優のアンジェリカ・ヒューストンは「(カーライルは)口の堅さが自慢」と断言し、スタッフもにっこり笑って「話せません」と口を閉ざす。これは個人レベルの話に留まらない。湾岸戦争のとき、FBIが「カーライルに滞在した国連のイラク代表のルームサービスに盗聴器を仕掛けたい」と言ってきたが、当時の総支配人だったピーター・シャープは「我々はゲストのプライバシーを守る」と一刀両断。その方針は今も続いていると取材時の総支配人は胸を張る。

俳優のジョージ・クルーニーは多くの友人たちから「家のように居心地がいい」と勧められ、今ではすっかり常連客である。「スタッフとは家族のような関係だ」と語り、スタッフもお気に入りのゲストを尋ねられると口を揃えて「ジョージ・クルーニー、(オフコース)」と興奮気味に答え、ジョージ・クルーニーと遭遇したときのワクワク感が伝わってくる。2017年には1泊2万ドルのエンパイア・スイートに夫婦で3カ月も滞在した。その部屋について、作家のアンソニー・ボーデインは「外に広がる景色の色彩が息をのむほど美しい」と絶賛。スクリーンに映し出される景色は絵画のように美しく、この作品の見どころの1つである。

俳優のジャック・ニコルソンもまた、スタッフに人気のある常連客だ。ジャック・ニコルソンとの思い出を語るスタッフたちの表情のなんと楽しそうなことか。宿泊客とスタッフの距離感の近さが“家のような居心地のよさ”をもたらすのだと思えてくる。

常連客には名前を刺繍した枕カバーを用意する。印象に残っている名前を聞かれた裁縫係は子どもたちと訪れたマイケル・ジャクソンを挙げ、マイケルは「MJ」にしたが、子どもたちはフルネームにしたと話す。スクリーンには着飾った子どもたちを連れてカーライルを訪れたマイケルの写真が映し出される。自分の名前を見てはしゃぐ子どもたちの姿が思い浮かぶ。

人をもてなし、喜んでもらう。カーライルの基本姿勢を象徴するサービスである。