【M&A法務】会社法改正案、 株式交付制度の創設

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M&A:会社法改正案、株式交付制度の創設

 2019年10月18日、「会社法のー部を改正する法律案」(「会社法改正案」)が閣議決定され、国会に提出されました。会社法改正案には、株式交付(株式会社が他の株式会社をその子会社とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付すること)の制度の創設が含まれています。
 株式交付制度は、現行法上、対象会社を完全子会社とすることまでは企図していない場合には、株式交換を用いることができないこと、及び、買収会社が対象会社の株式を現物出資財産として会社法199条1項の募集をすることに関しては、検査役調査を要したり、填補責任を負う可能性があったりすることが障害として指摘されていること等から創設された制度です。
 2018年2月14日に取りまとめられた「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する中間試案」では、株式交付子会社について、株式会社と同種の外国会社も含まれるものとされていましたが、会社法改正案では、株式交付子会社(株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式を発行する株式会社をいいます。)は、会社法上の株式会社に限るものとし、株式会社と同種の外国会社は含まれないものとされています。
 株式交付制度の手続としては、株式交付親会社(株式交付をする株式会社をいいます。)による株式交付計画の作成、株式交付子会社の株主による株式交付子会社の株式の譲渡しの申込み、株式交付親会社に関する手続(事前開示手続、株主総会の承認、差止め、債権者保護手続等)、無効の訴え等に関する規定が設けられています。
 株式交付制度は、今後、M&Aの手法の選択肢の1つになると考えられますので、今度の動向を注視する必要があると考えられます。

パートナー  大石 篤史
アソシエイト 川本 健

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2019年11月号 vol.71より転載

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