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【M&A】金融審議会、公開買付制度・大量保有報告制度等のあり方についてワーキング・グループでの検討を開始

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金融審議会は、金融庁の審議会の一つ(写真は金融庁)

金融審議会は、市場内取引等を通じた非友好的買収事例の増加、M&Aの多様化、パッシブ投資の増加、協働エンゲージメントの広がりといった近時の資本市場における環境変化を踏まえ、公開買付制度・大量保有報告制度等のあり方についてワーキング・グループによる検討を開始し、2023年6月5日に第1回の会合が行われました。

公表資料によれば、ワーキング・グループによる検討課題として、主に以下の事項が挙げられています。

A. 公開買付制度についての検討課題
① 強制公開買付規制における市場内取引・第三者割当の取扱い
②3分の1ルールの閾値の引下げ
③ 欧州型の規制(閾値を超える議決権の取得後にすべての株主に対して公開買付けを要求する事後的な規制)への転換
④ 定款の定めや株主総会の承認等による公開買付規制のオプトイン/オプトアウト制度の導入
⑤ 公開買付けの強圧性の問題の解消・逓減のための措置
⑥ 公開買付けの差止制度の導入
⑦ 公開買付けの事後的な救済制度の拡充
⑧ 個別事案を踏まえた公開買付規制の柔軟な運用を可能とする体制の整備

B. 大量保有報告制度についての検討課題
① 「重要提案行為」の範囲の限定又は明確化
② 「共同保有者」の範囲の限定又は明確化
③ エクイティ・デリバティブのロングポジションの保有への大量保有報告制度の適用
④ 大量保有報告制度の実効性を確保するための方策の要否及びその内容

C. 実質株主の透明性についての検討課題
株式について議決権指図権限や投資権限を有する者(「実質株主」)を効率的に把握するための方策の要否及びその内容

2006年以降、公開買付制度・大量保有報告制度について大きな改正はなされておらず、今回の検討により改正が実現する場合、M&A実務に大きな影響を与えることが見込まれるため、今後の議論の動向に注視が必要です。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 松尾 博美

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2023年7月号(第115号)より転載

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