M&A:株主総会招集請求の対象となる事項の意義について判示した裁判例(名古屋地決令和3年7月14日)
名古屋地裁は、株主が、買収防衛策として導入された取得条項付新株予約権の無償取得の件を株主総会の目的として、会社法297条4項に基づき株主総会を招集する許可を求めた事案に関して、「会社法297条1項にいう『株主総会の目的である事項』とは、同条項が一定の事項を株主総会の目的として株主総会を招集する権利である以上、その権利行使の対象となる一定の事項は、自ずから株主総会の権限に属する事項、すなわち、取締役会設置会社においては<中略>、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限定されると解される。」と判示しました。
従前から、会社法の規定及び定款の定めにより株主総会の権限とされていない事項については、会社法295条2項の趣旨に鑑み株主提案権の対象にすることはできないと考えられていたところですが、本裁判例はその旨を明確に判示した事例として参考になると考えられます。
パートナー 大石 篤史
アソシエイト 立元 寛人
2020年11月6日、金融庁は改正会社法の施行等に伴い、金融庁関係政府令等の改正案を公表しました。M&A関連では「株券等の公開買付けに関するQ&A」の追加が注目されます。