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住友化学3000億円、NEC2000億円~M&A投資枠について考える

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脱自前主義、アナウンスメント効果も意識?

 背景には、M&Aは「成長戦略を実現する重要な手段」との認識が浸透してきたことがある。日本企業では、長らく社内の資源で新規事業を立ち上げる「自前主義」が主流だった。しかし、技術革新のスピードが早まり、経営環境も激しく変化するなかで、社内だけでは、こうした環境変化に機動的に対応するのが難しくなった。M&Aを活用すれば、社内にない技術やノウハウを短期間で獲得でき、時間を節約できる。

 もう1つは社内や投資家に対する「アナウンスメント効果」である。M&Aに対する投資家の関心は年々高まっており、M&Aは株価に大きな影響を与えるイベントとなっている。決算説明会などIR(投資家向け広報)において、M&Aに対する戦略や取り組み方針を説明することは、投資家との対話を進めるうえで有効だろう。

 M&A投資枠を設けることは、具体的な金額を示して、経営者の投資への姿勢をコミットすることを意味する。小田急電鉄では2014年度にM&Aなどを推進する専門部署「事業企画部」を新設している。投資枠を設けることでM&Aに対する社内の人的リソースを拡充しやすくなる。さらに社外の証券会社やコンサルティング会社から「あの会社はM&Aに積極的だ」と思われ、案件の提案が持ち込まれやすくなるだろう。

 ただ必ずしもメリットばかりではないだろう。いくら投資枠を設けたとしても、実際にM&Aが実現するかどうかは、経済情勢や売り手企業が現れるかなど様々な状況に左右される。予算を用意したとしても、実行に移せなければ「絵に書いた餅」だ。枠を使い切れなければ、なぜM&Aが実現できなかったか投資家から説明責任を問われる。一方で、投資枠を設けたことで「なんとか実績をつくらなければ・・・」と焦り、高値づかみをしたのでは本末転倒である。

 従って投資家としては、M&A投資枠を設ける企業について、M&Aに対する経営者の意欲を評価しつつも、どんな会社をいくらで買ったかを冷静に見ていく必要があるだろう。

文:M&A Online編集部

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