M&A税務(3)グループ通算制度(加入時の時価評価と繰越欠損金)

alt

グループ通算制度加入の際の時価評価と繰越欠損金

譲渡企業がグループ通算制度に加入した場合、税務上、譲渡企業の資産の時価評価が必要となり、譲渡企業の法人税の繰越欠損金が切捨てとなる場合があります。今回は、これらの内容について説明します。

前回の記事はこちら
M&A税務(2)グループ通算制度の概要と加入

加入前の時価評価について

譲渡企業が100%株式譲渡M&Aにより通算グループに加入した場合、次の要件のいずれかを満たさなければ、単体としての最後のみなし事業年度の申告で、譲渡企業の土地などの一定の資産について、税務上評価損益を計上し*(法人税法64の12①四、法人税法施行令131の16③④⑦、法人税法施行規則27の16の11②、3①②、グループ通算制度に関する取扱通達の制定について2-49)、法人税の税務上の繰越欠損金は切捨てとなります(法人税法57⑥)。

*会計上何も処理しないため、税務上だけの処理となります。

●100%株式譲渡M&Aにより譲渡企業が通算グループに加入する場合の要件

「中小企業M&A株式譲渡の税務」(きんざい)より抜粋

加入した際の繰越欠損金について

上記の要件をすべて満たせば、評価損益の計上が不要となり、繰越欠損金の切捨てもありません(法人税法64の7②一)。

次回は子会社売却(切離し)により、グループ通算制度から離脱する場合の留意点を説明します。

文:村木 良平(税理士)

村木 良平 (むらき・りょうへい)

税理士
1975年7月 大阪府生まれ
大阪府立北野高等学校、同志社大学経済学部卒業
株式会社日本M&Aセンターで12年間、M&A案件を主に税務・ストラクチャー構築面から関与。関与案件は千件以上にのぼる。MVP賞、社長賞等受賞。同社コーポレートアドバイザー部(西日本)の責任者を5年間経験後、2021年に独立。税理士会や各実務者向けの講師も数多く行う。
税理士業務、経理・財務・社会保険実務全般、上場準備、上場後の開示実務、J-SOX、国際税務含めた税務実務、上場企業同士の再編実務、PMI等を経験。

著書『中小企業M&A実務必携税務編』(きんざい、2016年・2018年)
*改訂版として『中小企業M&A株式譲渡の税務』を2021年10月に発刊

公式サイト https://murakitax.com


NEXT STORY

M&A税務(2)グループ通算制度の概要と加入

M&A税務(2)グループ通算制度の概要と加入

2021/12/07

M&Aを実施する際、譲渡先企業が100%株式譲渡によりグループ通算制度に加入した場合や、通算グループがグループ通算制度を適用している場合、税務上特有の論点があります。