【M&Aを成功に導く法務・知財の勘どころ 2 】米中貿易戦争など法規制のインパクト

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貿易摩擦はM&Aの成否を左右することも‥

ガン・ジャンピング規制とは

届出基準の検討は、買収企業と対象企業の各国での売上額や資産の額をチェックすることになる。競合する事業の売上だけではなく、企業の全BU(ビジネスユニット)の連結売上が対象となり、海外拠点がなくても売上額等が基準額を超えていると、届出要件に該当するので注意が必要である。中国、ドイツ、EU(欧州連合)、韓国は、届出基準が低いため該当しやすい。届出が必要になれば、対象事業に関する売上情報、市場や他の競合企業、サプライヤー、顧客に関する情報等も集めていくことになる。

なお、段階取引の必要性がある場合に、ほとんどの当局は、一連の取引を単一の取引としてみなすため、最初の取引の実行前に届出が必要になると予定しておいた方がよい。段階取引の途中の段階で届出をして、規制違反に問われたケースがある。こういった行為であるフライングを規制するという意味でガン・ジャンピング規制と言われている。

ガンジャンピング規制には、この他、届出基準に該当すれば最終契約書(株式譲渡契約書など)締結後も、取引を実行してはいけないとされる待機期間又は当局の承認が下りるまでクロージングを待つことになるが、この間に重複する顧客・仕入先の一本化や取引条件の共同交渉などを行うことは禁止されている。

このように、M&Aの取引において法規制が与える影響は大きいので、ディールの早い段階で法務部門と協力して、対応策を考えた方がよい。

文:MAVIS PARTNERS アソシエイト 竹森 久美子

M&A Online編集部

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