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新型コロナ、株主総会の開催に影響⁈
新型コロナウイルスの感染拡大が株主総会の開催にも影響を及ぼしつつある。新築戸建住宅の分譲を手がけるハウスフリーダムは4日、3月16日に開く株主総会の会場を変更する発表した。会場に予定していた施設が新型コロナ対策として休館となったためだ。
日本各地で新型コロナウイルスが猛威を振るう中、各社が株主総会への対応に苦慮しています。折しも政府から新型コロナウイルス対策のために各種イベント開催等の自粛要請があったところで「果たして株主総会を開くのは妥当といえるのか?」が問題となっているのです。
新型コロナウイルス対策を理由に株主総会を延期できるのか、オンラインによる株主総会はできないのか等、具体的な対処方法を解説します。
結論として、新型コロナウイルス対策を理由とした株主総会の延期は「可能」です。
現在、多くの日本企業は「事業年度の終了後3か月以内」に株主総会を開催しています。2019年12月に事業年度が終了した企業が2020年3月に株主総会を予定しているケースは多いでしょう。
しかし会社法やその他の法令によって「株主総会を事業年度の3か月以内に実施すべき」と定められているわけではありません。「3か月以内」としているのは各社の判断によります。天災や今回のウイルス対策のような事情があるときには延期をしても問題はないのです。
法務省も、新型コロナウイルス対策のために株主総会を延期することについて、「何ら法的な問題はない」という見解を発表しています。
各社においては、無理にリスクをとって株主総会を開催する必要はないので、状況に応じて延期すると良いでしょう。
「ウイルス対策のため、株主総会をオンラインで行えば良いのでは?」そう考える企業があるかもしれません。
しかし株主総会は「物理的に場所を指定して行うべき」と考えられており、オンラインによる株主総会は違法となる可能性が濃厚です。ウイルス対策であってもオンライン株主会議を実施してはなりません。
株主総会を延期するのであれば、あらためて基準日を設定し、基準日の2週間前までに公告を行わねばなりません。再度の手続きのやり直しが必要となるので注意しましょう。
一方で、現実には2020年3月に予定される株主総会を延期せず、通常通り開催する企業も多数あります。実施する場合は、消毒液の設置やマスク配布、除菌シートによるマイクの拭き取り、試食会の中止、座席の間隔を広くする、議事を短縮する、体温が高い株主に検温を求めるなどさまざまな感染症対策がとられています。
自社の株主総会からコロナウイルスが広まったとなると、大きな風評被害が発生します。株主総会を延期する・しない、どちらの場合であっても慎重に対応しましょう。
文:福谷陽子(元弁護士 法律ライター)
法律ライター 元弁護士
京都大学法学部卒業
10年の実務経験を積んだ後ライターに転身し、現在は各種法律記事を中心に執筆業を行っている。弁護士時代は中小企業法務や一般個人の民事事件を中心に取り扱っており、その経験を活かし法律ライターとして活躍中。
新型コロナウイルスの感染拡大が株主総会の開催にも影響を及ぼしつつある。新築戸建住宅の分譲を手がけるハウスフリーダムは4日、3月16日に開く株主総会の会場を変更する発表した。会場に予定していた施設が新型コロナ対策として休館となったためだ。