日本各地で新型コロナウイルスが猛威を振るう中、各社が株主総会への対応に苦慮しています。折しも政府から新型コロナウイルス対策のために各種イベント開催等の自粛要請があったところで「果たして株主総会を開くのは妥当といえるのか?」が問題となっているのです。

新型コロナウイルス対策を理由に株主総会を延期できるのか、オンラインによる株主総会はできないのか等、具体的な対処方法を解説します。

1.新型コロナウイルスを理由とした株主総会の延期は可能

結論として、新型コロナウイルス対策を理由とした株主総会の延期は「可能」です。

現在、多くの日本企業は「事業年度の終了後3か月以内」に株主総会を開催しています。2019年12月に事業年度が終了した企業が2020年3月に株主総会を予定しているケースは多いでしょう。

しかし会社法やその他の法令によって「株主総会を事業年度の3か月以内に実施すべき」と定められているわけではありません。「3か月以内」としているのは各社の判断によります。天災や今回のウイルス対策のような事情があるときには延期をしても問題はないのです。

法務省も、新型コロナウイルス対策のために株主総会を延期することについて、「何ら法的な問題はない」という見解を発表しています。

定時株主総会の開催について|法務省

各社においては、無理にリスクをとって株主総会を開催する必要はないので、状況に応じて延期すると良いでしょう。

2.オンラインによる株主総会開催は違法の疑いが強い

「ウイルス対策のため、株主総会をオンラインで行えば良いのでは?」そう考える企業があるかもしれません。

しかし株主総会は「物理的に場所を指定して行うべき」と考えられており、オンラインによる株主総会は違法となる可能性が濃厚です。ウイルス対策であってもオンライン株主会議を実施してはなりません。

3.株主総会を延期した場合の対応

株主総会を延期するのであれば、あらためて基準日を設定し、基準日の2週間前までに公告を行わねばなりません。再度の手続きのやり直しが必要となるので注意しましょう。

4.株主総会を延期しない場合の対応

一方で、現実には2020年3月に予定される株主総会を延期せず、通常通り開催する企業も多数あります。実施する場合は、消毒液の設置やマスク配布、除菌シートによるマイクの拭き取り、試食会の中止、座席の間隔を広くする、議事を短縮する、体温が高い株主に検温を求めるなどさまざまな感染症対策がとられています。

自社の株主総会からコロナウイルスが広まったとなると、大きな風評被害が発生します。株主総会を延期する・しない、どちらの場合であっても慎重に対応しましょう。

文:福谷陽子(元弁護士 法律ライター)