新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、国内外の経済活動に影響がみられています。今後の感染拡大も予想される中、M&A契約の締結や実行にあたっても、その影響に留意することが求められます。
 M&A契約では、契約締結時点からクロージングまでに、対象会社・事業に、買主が企画した目的を達成し得ない「重大な悪影響」を及ぼす事由(「MAC事由」)が生じた場合、買主が契約に定める義務の履行を拒絶し又は契約の義務から離脱することを可能とするMAC(Material Adverse Change)条項が規定されることがあります。新型コロナウイルス感染症により対象会社・事業の財務状態、経営成績等に重大な影響が生じる場合、MAC事由に該当するかが論点となり得ます。契約締結時点で、新型コロナウイルス感染症による対象会社・事業の財務状態等への影響が予想される場合、MAC事由に該当するかどうか明確化を図ることも考えられます。
 また、新型コロナウイルス感染症により、クロージング後の事業への影響に懸念がある場合、クロージング後一定の期間経過後に対象会社・事業が特定の目標を達成したかに応じて、買収対価の一部を後払いするアーンアウト条項を活用することも検討に値します。
 上記は一例であり、その他にも新型コロナウイルス感染症の影響で契約上の義務を履行できない場合に不可抗力事由(Force Majeure)と認められるか等の様々な点が問題となり得ます。今後の感染拡大の状況や対象会社・事業への影響等の個別の案件の状況に留意しつつ、M&A契約の締結や実行を行うことが肝要となります。

パートナー 大石 篤史
アソシエイト 齋藤 悠輝

森・濱田松本法律事務所 Client Alert 2020年3月号 vol.75より転載