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親子会社や兄弟会社に適用されるグループ法人税制とは? しっかり学ぶM&A基礎講座(47)

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完全子法人から配当を受け取った場合はどうなる?

一般に、配当は法人税がすでに課された利益から支出されるものであるため、配当金が受取側でさらに益金として課税されると二重課税となる可能性もあります。そこで、グループ法人税制に限らず、持株比率に応じて受取配当金のうち一定割合が益金不算入とされるようになっています。これが受取配当等の益金不算入制度です。

なお、配当の元本ともいえる株式を保有するために借入金を利用している場合、借入金にかかる利子は損金に算入されることになります。負債利子を損金に算入しながら、受取配当金だけは全額が益金不算入になるというのは公平ではありません。そこで、持株比率3分の1超の関連法人株式等にかかる配当では受取配当金から負債利子を控除した額が益金不算入とされています。

ところが、完全支配関係にある子法人からの配当は全額が益金不算入となるとともに、負債利子を控除しないことになっています。これはグループ内の配当が間接的に行われる事業からの資金移転と考えられるためと言われます。

安易な「グループ法人税制はずし」には注意

以上のようなグループ法人税制は、会社の状況に応じて有利に働くことも不利に働くこともあるでしょう。仮に、グループ法人税制が適用されると不利になる場合、なんとかグループ法人税制の要件から外ずれたいという動機が生まれるかもしれません。

例えば、100%保有関係を形式的に解消するために株式の一部を従業員に持たせればよいというような発想です。しかし、このように安易に要件を外すことは常に否認リスクを伴うものです。同族会社等の行為や計算の否認を定めた法人税法132条1項を根拠に税務当局からグループ法人税制の適用を迫られることも考えられます。

M&Aにより完全親子会社関係が生じる場合には、グループ法人税制の影響を念頭に置いてグループ会社間取引を考える必要があることは確かです。

文:北川ワタル(公認会計士・税理士)

北川 ワタル

経歴:2001年、公認会計士2次試験合格後、監査法人トーマツ(現有限責任監査法人トーマツ)、太陽監査法人(現太陽有限責任監査法人)にて金融商品取引法監査、会社法監査に従事。上場企業の監査の他、リファーラル業務、IFRSアドバイザリー、IPO(株式公開)支援、学校法人監査、デューデリジェンス、金融機関監査等を経験。マネージャー及び主査として各フィールドワークを指揮するとともに、顧客セミナー、内部研修等の講師 、ニュースレター、書籍等の執筆にも従事した。2012年、株式会社ダーチャコンセプトを設立し独立。2013年、経営革新等支援機関認定、税理士登録。スタートアップの支援からグループ会社の連結納税、国際税務アドバイザリーまで財務会計・税務を中心とした幅広いサービスを提供。

学歴:武蔵野美術大学造形学部通信教育課程中退、同志社大学法学部政治学科中退、大阪府立天王寺高等学校卒業(高44期)

出版物:『重要項目ピックアップ 固定資産の会計・税務完全ガイド』税務経理協会(分担執筆)、『図解 最新 税金のしくみと手続きがわかる事典』三修社(監修)、『最新 アパート・マンション・民泊 経営をめぐる法律と税務』三修社(監修)など

北川ワタル事務所・株式会社ダーチャコンセプトのウェブサイトはこちら


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