PPAにおける無形資産の評価とは

 PPA(Purchase Price Allocation:取得原価の配分)の実務について、実務家の観点から、担当者が留意すべき点についてご説明します。第2回は無形資産の評価について解説します。なお、文中意見にかかわる箇所は、個人的見解であることをあらかじめお断りします。

前回までのおさらいはこちら

1.評価アプローチについて

 無形資産評価で用いられる代表的な評価アプローチは、以下の通りです。

(図表1)PPAで用いる評価アプローチ

インカム・アプローチ ・評価対象資産から得られる将来の経済的便益の総和を現在価値に割引いた価値により、評価対象資産を評価する手法です。
・無形資産評価の実務ではほとんどのケースにおいて採用される重要な算定手法です。
・代表的な算定方法に、「ロイヤリティ免除法」、「超過収益法」などがあります。
マーケット・アプローチ ・評価対象資産あるいは評価対象資産に類似した資産の取引市場における取引価格を参考にして、評価対象資産の価値を算定する手法です。
・代表的な算定方法に、「売買取引比較法」があります。
コスト・アプローチ ・無形資産を構成する要素それぞれの再調達原価や複製原価を算定し、集計した額を評価対象資産の価値とする手法です。
のれんに含まれる人的資産の評価等に用いられます。
・代表的な算定方法に、「再調達原価法」があります。

(※筆者作成)

2.使用される事業計画

 PPAにおける無形資産の評価は、いわゆる公正価値アプローチによっており、買収企業が誰であろうと同じ価値になるという前提に立って、一般的な市場参加者が想定する事業計画に基づいて評価を行うことが求められます。

 このため、事業計画に買収企業が想定する買い手固有のシナジーが含まれているような場合は、当該シナジーによる影響を除外して、一般的な市場参加者が想定するであろう計画と同水準になるよう、計画数値の調整が必要となります。