PPA(Purchase Price Allocation:取得原価の配分)とは、M&Aにおける被買収企業の資産・負債の受入価格を買収企業において確定する会計処理であり、現在では、M&Aには必須の手続となっています。
特に留意すべき点は、買収時点の貸借対照表に既に計上されている資産や負債だけでなく、オフバランスとなっている、いわゆる無形資産の計上が必要な点です。
2010年の企業結合会計基準等の改正により必須となったPPAですが、未だ実務に定着しているとは言いがたい状況であり、一部のM&Aに慣れ親しんだ企業を除き、企業関係者からは「実際にどのように手続を進めればよいのかわからない」という声をよく耳にします。
そこでPPAの実務について、数多くの無形資産価値算定業務に携わってきた実務家の観点から、企業担当者が留意すべき点についてご説明します。なお、文中意見にかかわる箇所は、個人的見解であることをあらかじめお断りします。
(図表1)PPAにかかる無形資産価値評価のイメージ
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PPAは、原則としてM&A実行後1年内での会計処理が求められます。買収企業にとってはM&A後の業績に影響する重要な会計処理であり、見積りの要素を含む性質上、多くのケースで企業の依頼を受けた外部評価機関が無形資産の価値算定を行います。
ただ、外部評価機関を利用する場合であっても、企業側には情報提供など一定の関与が求められます。
買収企業の経営企画や経理部門の担当者にとっては、外部評価機関とのコミュニケーション、社内関連部署への情報伝達、マネジメントへの報告や説明、監査法人との意見交換等々、さまざまな業務が生じるプロセスであり、適切なタスク・スケジュール管理とPPAの実務に関する理解が、手続をスムーズに進めるために必要となります。
【PPAのポイント】
・日本基準においても、2010年4月1日以降より必要となった
・買収完了後、1年以内の処理が求められる