かき入れ時の12月に向けて激しくなるコンビニ対KFCのチキン戦争。これまでフライドチキンといえば「ケンタッキー」がほぼ市場を独占してきただけに、コンビニの参戦で、業績面でも影響が現れています。
KFCの直営店とフランチェイズチェーン(FC)店を合計した売上高の推移を見てみましょう。2010年3月期の1550億円をピークに2014年3月期は3割減の1076億円まで落ち込みました。コンビニなどとの業態を超えた競争激化に危機感を募らせたKFCは、チキンはすべて「国内産」であることを訴求するなどブランド力の強化に躍起です。その結果、2016年3月期は前期比5.7%増の1162億円に回復しましたが、2016年4~10月は全店平均売上高がわずか0.1%増と再び苦戦を強いられています。
一方、ローソンはフライドチキンやサンドイッチなどを含むファーストフードの売上高が右肩上がりに成長しています。2009年にフライドチキン「Lチキ」を発売。2013年にはローソン史上最高品質のフライドチキン「黄金チキン」を投入しました。2016年2月期は前期比9.3%増の4505億円と2010年2月期と比べて5割近く高い水準にあります。単身世帯の増加によって自宅で揚げ物を調理するのではなく、身近なコンビニでチキンなどの揚げ物を購入する人が増えていることが背景にあります。
こうした市場環境の変化を受けて、あの有名な大手商社も投資戦略の見直しに動きました。
春到来。花見や新生活スタートなどで集まって飲食する機会も多い。しかし、その席に並ぶお酒や食べ物、選んだお店がどのような戦略でM&Aを行い事業をのばしてきたのか。ふと思いを巡らせてみたい。