インバウンド需要の増加で冷凍パンに注目が集まっています。今年5月、冷凍食品大手のテーブルマークが冷凍パンの生産能力を1割高めたと報じられました。ホテルの朝食などで手軽に提供できるうえに、外食店でも人手不足に対応できる商品としてニーズがあるようです。調理の手間を省くことができるだけでなく、廃棄を減らせるという点もメリットとのこと。
業務用冷凍パンの需要が高まる中、テーブルマークでは家庭用の冷凍パンも販売しています。
焼きたてを独自技術で急速冷凍したパンは、テレビや新聞などのメディアでも美味しいと話題に。実は、その美味しさの裏側には、テーブルマークという会社の成り立ちが深く関わっているのです。
テーブルマークは、2008年に冷凍うどんなどで知られる「加ト吉」と「日本たばこ産業(JT)」が事業統合して生まれ、2010年に現在の社名となりました。とはいえ、冷凍さぬきうどんなど、加ト吉時代からの主力商品は現在も「カトキチ」ブランドの名を冠しています。
一方のJTには、実はパンの製造や販売を手掛ける「サンジェルマン」がグループ傘下にいました。元々は東急グループだったサンジェルマンを2002年にJTが完全子会社化したのです。サンジェルマンが東急ストアや東急百貨店などに多いのは、その名残といえるでしょう。
こうして、加ト吉の冷凍加工技術とサンジェルマンの製パン技術が合体し、2008年に業務用冷凍パン「ディライトベーカーズ」、2011年に家庭用冷凍パン「ベーカーズセレクト」という商品が生まれることとなりました。焼きたてのパンを急速冷凍することで、食感を損なうことなく、美味しい冷凍パンが出来上がったのです。