事業承継、廃業・清算と存続を図るM&A

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写真はイメージです

我が国の企業のほとんどが中小企業で、一般的に会社の所有者が経営にあたっています。近年、経営者にとって頭を悩ましているのが、会社の今後をどうするかという事業承継問題です。

昔は子や孫が家業を継ぐのは当たり前でしたが、現代ではそういった考えは薄れ、さらに少子化という現実が追い討ちをかけています。

親族の中に引き継いでくれる者がいない、従業員にも目ぼしい人材がいないなどの理由から、多くの中小企業の経営者がやむなく廃業を選択しているのが現実です。特に、昨年からの新型コロナウイルス感染症はそれに拍車をかけ、廃業は急増しています。

経営が行き詰まって廃業するなら仕方ありませんが、経営も順調で利益も出ているにもかかわらず廃業することは、国の経済にとって大きな損失です。長年培ってきた技術やノウハウ、顧客、そして有能な従業員の喪失は、国力という面から大きな痛手です。

廃業・清算は経済的・社会的な終止符

さまざまな面から、できることなら避けたい廃業・清算ですが、それでもあえて選択する経営者もいます。それは、「創業者としての利益の確保」と「自らの意思による引退が可能」であるからでしょう。

創業者としての利益の確保とは、会社の経営が順調で利益が出ているのであれば、会社を廃業・清算し残余財産について、経営者自ら株主として配当を受けるというものです。

この場合、清算価格による価値ですから、M&Aのような超過収益として「のれん」は加算されません。その上、借り入れなどがある場合、清算金で賄うことができない額の債務が残るおそれもあります。

その他にも廃業・清算の場合、自らの意思やタイミングで引退することもできます。事業は順調でも、労働に対する意欲が減退してしまったときなど早めに引退できます。その後しばらくして、また意欲が湧いたとき、新たな事業を始めるということは意味のあることです。

ただし、取引先への配慮や従業員への処遇面をおろそかにはできません。あらかじめ再就職先などの斡旋など十分な対応が必要です。

このように廃業・清算にも一理ありますが、やはり長年培ってきた技術やノウハウ、ブランド、顧客、取引先などが消滅するということは大きな損失です。その経済的・社会的影響は経営者が思うほど小さいものではないのです。

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