会社の売り時のベストなタイミングと準備

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写真はイメージです

会社を売却する決意をしたら、重要になるのは売却するタイミングです。タイミングを逸してしまうと、売却できない、あるいは本来売却できたはずの半分以下の金額でしか売却できなくなった、などの事態に陥ることもあります。会社売却のタイミングの目安と、それに向けた準備について見ていきましょう。

事前の会社売却についての検討・準備

ベストなタイミングで会社を売るには、それなりの準備が必要ですから、十分な時間をかけて検討して下さい。

準備① 経営者の年齢や健康状態を意識する前から

経営者が自分の年齢を意識したり、健康状態に不安を感じ、会社を手放し引退しようと決意します。この時、売手企業は早く売りたいと思うものですが、買手企業は特に急ぐ必要はありませんから、焦ると安く買い叩かれてしまいます。決して売り急ぐべきではありません。

できれば経営者としての年齢や健康状態を意識する前から考えるべきですが、日々業務に追われそう簡単にはいかないでしょう。ただ、少しでも不安を感じたら、売却の検討や準備を始めるべきです。

そして、買手企業をM&A仲介業者に探してもらっている間に、経営者は経営に専念します。売り上げや利益など財務内容を改善し、株価や売却価格のベースとなる事業評価などを少しでも高める努力をします。

準備② 経営者の働く意欲が低下する前から

経営者の働く意欲が低下すると従業員にも伝わって士気が下がり、業績悪化につながります。売却価格は低い評価をされ、本来売却できる金額の半分にも満たなくなることもあります。

事業に対する意欲・気力が残っているうちに、もう少し頑張ってできるだけ高く売却できるよう、会社や事業の維持・業績アップに努めます。

準備③ 自社を取り巻く業界動向の事前分析

大企業ばかりでなく、中小企業にも業界再編による寡占化のため、M&Aが行われるようになりました。また最近では新型コロナウイルスの影響により、閉店を余儀なくされている飲食店等の個人事業者も多くいます。

こした事業者でも、自社に独自の技術や技能、ノウハウなどがあれば、廃業することなくM&Aで売却することも可能です。ただし、事前分析するあまり売却額に固執するとタイミングを逃し売却できなくなることもあります。

投機売買では「まだはもう」という言葉があります。そこで、M&A仲介会社などに業界動向を分析してもらい、頃合いを見計らって売却するということも必要です。

会社売却のベストなタイミング

会社売却についての準備が整ったら、次に売却するタイミングの検討に入ります。会社の売却を決定する際に用いられる方法として、経営者の事業意欲と会社の業績を掛け合わせたマトリクスがあります。

経営者の事業意欲を旺盛と減退、会社の業績を良いと悪いとに分け、これらを掛け合わせた四つのパターンから、具体的に売却するタイミングを決めるものです。以下が具体的な4パターンです。

①事業意欲が旺盛+業績がよい=売る必要はない
 現状のまま事業を続け、さらなる事業の発展を目指すべき。

②事業意欲は旺盛+業績が悪い=いろいろな選択肢を考える
 現状のまま経営に携わり、業績を回復させる。他の企業との資本提携をするか、業績を回復させたあとで売却する、など考えうる限りの方法を検討すべき。

③事業意欲が減退+業績はよい=今が売り時
 経営者の事業意欲が減退しているので、このまま続ければ業績は悪化し、売却価格は下がる。業績はよいので、正当な価格で売却することが可能。一旦売却し、新たな事業展開に意欲が出てくることも考えられる。

④事業意欲が減退+業績が悪い=売れる時に売る
 現状のまま続けていても業績は回復せず、最悪、倒産や廃業も。買ってもよいとのオファーがあった時が売り時。他の企業にはない技術や技能、ノウハウ、顧客、商圏などの経営資源があれば、業績が悪くても買ってくれる企業もある。

ベストなタイミングでM&Aにより会社を売却する場合、それに向け少なくとも3〜5年の準備期間が必要です。人生100年と言われる現在、60代後半には自身の引き際を考える準備に入り、70代半ばまで現役として働き、頃合いを見計らって売却するといったプロセスをとるとよいでしょう。

文:特定行政書士 萩原 洋

M&A Online編集部

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