最近増えている「信託型ストック・オプション」とは

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▼ストック・オプションの会計処理

信託型ストック・オプションは、「ストック・オプション等に関する会計基準」(企業会計基準第8号)に基づいて会計処理を行うと考えられます。

これによると、業績条件等が確定した時点で、株式報酬費用を計上することになります(条件により費用計上額は少額)。しかし、この会計基準を適用するのかどうか、はっきりしないのが現状です。

信託型ストック・オプションでは、役員・社員等には、会社から独立した信託の受益者としてストック・オプションが交付されます。そのストック・オプション取得資金は、信託の委託者であるオーナー個人から拠出されたものです。役員・社員等は信託から資金負担なしにストック・オプションをもらう形になります。このような前提をストック・オプションの会計基準が想定しているわけではありません。

このため、会計上の取り扱いについては監査法人ごとに異なる可能性があるとされています。

▼誰が考えた仕組みか

信託型ストック・オプションは、松田弁護士と株式会社プル―タス・コンサルティングが2014年に共同開発したものであるとされており、「時価発行新株予約権信託」(R)として商標登録されています。ただし、同社に依頼しないと信託型ストック・オプションが実施できないわけではありません。

顧問税理士個人が信託の受託者となる民事信託と信託銀行が受託者となる商事信託があります。過去の事例としては民事信託が多かったようですが、最近は信託銀行を使う商事信託が増えてきているようです。

▼導入事例

上場準備会社が上場前に信託型ストック・オプションを導入し、上場後に権利行使できるように設計するケースが多く見られます。公表されているものでは、再生医療のヘリオスが最初で、名刺のSansanやグルメサイトのRettyなど30社弱あります。

上場会社20社程度もこれを導入していますが、マザーズ上場会社が多く、東証一部上場会社はほとんどないようです。公表されていないものを含めると200件以上の導入事例があるとのことです。

信託に対する当初資金をオーナー個人が拠出しなければならないため、信託型ストック・オプションは、オーナー色の濃い上場準備会社向きです。

次に述べる懸念点もあることから、サラリーマン経営者による東証一部上場会社向きの仕組みではありません。

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