金融機関や外資系コンサル、全国展開する小売りチェーン(再生担当取締役)を経て、現在は幅広い業界企業に対する経営者派遣での経営支援や事業戦略立案、R&D戦略等による企業価値向上支援などを手掛けるジェミニ ストラテジー グループ株式会社 代表取締役CEOを務める山田政弘氏。

そんな山田氏が、豊富な知識と“現場での経験”を踏まえ、実践的な知見、ノウハウについてわかりやすく解説する「実務に使える“実践的”ビジネス塾」。第5回のテーマは前回に引き続き「事業再生」です。

「本業低迷企業」のタイプは3つ

最も事業再生の難易度が高い「本業低迷企業」は、さらに「構造不況業種」「代替の脅威にさらされている企業」「競争劣位企業」の3つに分類される。

「構造不況業種」とはその名の通り、全体として構造不況に陥っている業界に属する企業である。ただし、業界を見渡して全社負け組というケースは少ないので、どうすれば勝ち組の要件を満たすことができるか、という問いが再生の方向性を見出すための論点になる。

次いで「代替の脅威にさらされている企業」。Webメディアの攻勢にさらされている新聞社や携帯電話のカメラに代替されているデジタルカメラメーカーなどはこの分類の典型例と言えるだろう。この場合、代替しようとしている事業/技術領域に自ら出て行って、既存事業の衰退と入れ替えに代替事業における市場成長の伸びを享受する。

あるいは新規投資を抑制して利益を出している間は現状(キャッシュカウの状態)を維持しつつフェードアウトさせる一方で、M&Aや新規事業立ち上げなどにより異なる事業領域に打って出て新たな収益源の確立を目指す、という方法がセオリーとなる。

ただし、いずれの場合においても留意すべきポイントは、既存の主事業であげている(ないしはかつてあげていた)利益と同等、ないしはそれを上回る事業を新たに確立する場合、相当の時間と投資を要するということ。つまり、既存の主事業が赤字に転落してからでは遅いのだ。

著者の経験では、再生に陥っている企業ほど、既存の主事業に売上、利益の停滞、低下傾向が始まった初期のタイミングで抜本的な手を打たない経営者が多い。または、アグレッシブかつ極端にやりすぎて既存の主事業の寿命を早めてしまう、または壊してしまう、というケースも散見される。

既存の主事業の賞味期限(いつ頃まで黒字を維持できるか)を見極めつつ、抜本的なテコ入れをして再度収益水準を向上させるのか、その事業自体は見限って他に成長の源泉を創る(探す)のか…何れにしても高度且つ果断な経営判断、意思決定が必要になる。