2.で述べた通り、上場企業では月次決算で経過勘定の処理をすることになり、また上場企業は会社の規模が大きいため、対象となる取引も多くなるため、結果として、管理すべき経過勘定の量が膨大になりがちです。
私自身が以前事業会社で経理に携わっていた時、1円以上の前払費用はすべて月按分するという方針であったため、当初はExcel管理だったものが、Access管理と変更になり、最後は前払費用だけで数万個となり結果として、情報システム部門にスクラッチで管理システムを作ってもらうことになりました。
当然、作業する人員工数も必要ですし、処理を誤るリスクもあるため修正やダブルチェックのための工数、例えば、費用配賦部門が組織変更でなくなったり変わった場合の費用負担部門の調整などかなりの追加工数がかかるというデメリットがありました。
決算の目的の1つはもちろん適切な期間損益の計算であるものの、経営の意思決定のための羅針盤となる目的もあり、その目的に沿って考えた場合に1円単位で経過勘定を細かく処理する必要はあるのでしょうか。
実は会計基準では、企業会計原則において重要性の原則というものがあり、経過勘定についても明記されています。(企業会計原則 注解1)
企業会計は、定められた会計処理の方法に従って正確な計算を行うべきものであるが、企業会計が目的とするところは、企業の財務内容を明らかにし、企業の状況に関する利害関係者の判断を誤らせないようにすることにあるから、重要性の乏しいものについては、本来の厳密な会計処理によらないで他の簡便な方法によることも正規の簿記の原則に従った処理として認められる。
(中略)
(2) 前払費用、未収収益、未払費用及び前受収益のうち、重要性の乏しいものについては、経過勘定項目として処理しないことができる。
税務上も、この重要性の原則を踏まえ、一定の要件を満たす前払費用は支払時点で一括で損金計上することが認められています。(短期前払費用の特例)
個人的には同じ期間損益計算を目的とする固定資産の減価償却でさえ、一般的には20万円未満は一括費用処理していることを考えると、少なくとも経過勘定についても20万円未満について経過勘定とする必要はないのではないかと考えます。
昨今、経理部門の負担の重さ、忙しさをよく聞きますが、経過勘定のような細かいことからこつこつと効率化することにより、意外と業務は減るのではないでしょうか。
文:泉 光一郎(公認会計士・税理士)
ビズサプリグループ メルマガバックナンバー(vol.096 2019.5.10)より転載
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