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ロシアが万難を排してまでウクライナを手放さない「本当の理由」

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(Photo By Reuters)

ロシアにとってウクライナは日本の奈良・京都

そもそもロシア史は882年にノヴゴロド公オレグがキエフを征服し、東スラヴの北部と南部を統一したキエフ大公国、いわゆる「キエフ・ルーシ」の建国から始まる。「キエフ」は現在のウクライナの首都だ。「ルーシ」はロシアやベラルーシの国名の語源となっている。

ロシア文学の歴史的な名作の「イーゴリ遠征物語」、ニコライ・ゴーゴリの「外套」や「死せる魂」などは、ウクライナの作品だ。共産主義体制崩壊後に社会的影響力が高まった宗教では、両国の「同一性」が際立つ。ロシア、ウクライナともに東ローマ帝国を源流とするキリスト教正教会が主流で、2013年7月にウクライナで開かれた「キエフ・ルーシ洗礼1025周年記念式典」にはプーチン大統領も出席した。

文化や宗教で結びつきが強いロシアとウクライナ(キエフの正教会)

ロシア文学研究者によれば「ロシア人にとってウクライナがロシアではないというのは、日本人が奈良や京都が日本ではないというのと同じ」らしい。

つまりロシア人から見た現在の状況を日本で再現すれば、何らかの理由で日本が東日本(ロシア)と西日本(ウクライナ)に分かれ、西日本政府が「わが国は、もはや日本(ロシア)ではない」と主張し、中国(西側諸国)と安全保障条約を結んで西日本各地に中国人民解放軍(NATO軍)の進駐を許すという状況だ。東日本政府にとっては文化的、政治的、安全保障的に容認できないだろう。

もちろん、これはロシア人の歴史認識であり、ウクライナ人のそれとは全く違う。ただ、日韓関係や日中関係を含め、隣国同士の歴史認識が食い違うことは世界中である。それだけにロシアとウクライナの問題は、日本を含め世界中のどこの国でも起こりうる事態なのだ。決して「対岸の火事」ではない。

文:M&A Online編集部

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