スエズ座礁コンテナ船の所有会社とは?実は国内最大手企業の傘下

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正栄汽船の親会社は日本最大の造船企業

さて、船主である正栄汽船の親会社は、日本最大の造船会社である今治造船(愛媛県今治市)だ。正栄汽船の社長は今治造船の檜垣幸人社長が兼務している。ビジネスモデルとしては今治造船が建造した船舶を正栄汽船がオペレーターに貸し付けて用船料を得る仕組みだ。

事故を起こした「エバーギヴン」も今治造船が建造している。同社の「Imabari 20000」設計に基づいて建造された13隻のコンテナ船のうちの1隻で、全長は399.94メートルとコンテナ船の中では最も大きいカテゴリーだ。

正栄汽船が本社を置く今治市は人口約15万6000人の一地方都市だが、船主が多いことで知られる。造船業では韓国や中国にお株を奪われた日本だが、実はギリシャや香港と並ぶ世界的な「船主大国」だ。

今治市の船主は「エヒメオーナー(愛媛船主)」と呼ばれ、日本の外航船の約3割を保有する。保有隻数は約1000隻、資産価値は2兆円を超えるという。愛媛船主の9割以上は西日本を中心とする国内造船所に発注しており、国内造船業を支える存在でもある。

「愛媛船主」は世界の海運だけでなく、国内造船メーカーも支える存在だ(今治造船ホームページより)

わが国造船業と世界の海運業界の動向を左右する愛媛船主だが、企業としての実態は家族経営の中小企業だ。図らずもスエズ座礁事故で全世界に名が知れ渡った正栄汽船も、親会社の今治造船同様に檜垣家による家族経営で典型的な愛媛船主といえる。

中小造船業が集積した今治が生んだ愛媛船主が、世界の海上物流を動かしている。まさに「小さな巨人」といえる存在だ。

文:M&A Online編集部

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