生き残りを賭し3PLを目指して
他業種のノウハウや付加機能を狙ったM&Aが活発化

 内需縮小や円安、燃料高を背景に、国内物流市場は縮小傾向にある。輸送量の頭打ち、荷主企業からの物流コスト削減要求、同業者間の値下げ競争の激化、人材不足に苦しむ物流業界が、生き残りと成長を賭けて取り組んでいるのが「3PL」である。3PLはサード・パーティ・ロジスティクスの略で、荷物の配送にとどまらず、在庫管理から組み立て梱包、システム構築などの周辺サービスを含めて一括で請け負うアウトソーシングサービスのことである。

 運送業者が3PLを推進するには物流以外の付加機能を補完する必要があり、近年、そのためのM&Aが目立つようになっている。国内で3PLの先駆者と言われる日立物流<9086>は、2005年以降、資生堂物流サービス、「おかめ納豆」ブランドを展開するタカノフーズの子会社タカノ物流サービス、内田洋行<8057>の子会社オリエント・ロジなどを次々に買収。13年3月には日立電線の子会社である日立電線ロジテックを傘下に収めた。

 日本通運<9062>は13 年にNECロジスティクス、14 年にパナソニックロジスティクスを買収。近鉄エクスプレス<9375>もパナソニック製品の輸出入・三国間貿易手続きを手掛けるパナソニックトレーディングサービスジャパンを14 年に買収し、多様化する物流ニーズへの対応を目指すとしている。また、企業物流大手のセンコー<9069>は、13 年に家庭紙卸売のアストを買収することで、製造から販売までワンストップの商流・物流一体型のビジネスモデルを構築する方向だ。

 このように大手企業は、荷主企業の物流子会社を傘下に収めることで、さまざまな業界の物流ノウハウと付加機能を取り入れている。3PL化やチャネル拡大を目指すM&A は今後も活発化すると予想される。

国内市場が縮小する中、中小事業者は苦戦
活路のひとつは他業種との連携

 一方、市場全般が縮小する国内で唯一伸びているのがインターネット通販に伴う宅配便市場である。利益率の低さという構造的問題をはらむものの、通販事業者自身が物流機能の構築に乗り出している。 楽天<4755>は10 年に楽天物流を設立し、12 年8月から総合フルフィルメントサービス「楽天スーパーロジスティクス」を開始。東京・名古屋・大阪の三大都市圏で30 を超える配送拠点を保有するエコ配(東京)と資本・業務提携を行った。米国の中堅物流会社であるウェブジスティクスの買収も進めており、いずれ全世界に物流網を構築して、アマゾンやイーベイに対抗する戦略を掲げている。

 このような中、特に厳しい経営を迫られているのが、保有車両数の少ない中小事業者である。業界の大半を占める50 台以下の事業者は、そのうち約6割が営業赤字となっている。これらの要因は冒頭に挙げた理由が重なったもので、経営努力だけではどうにもならない側面がある。

 明るい兆しがあるとすれば、震災復興ならびに東京オリンピック・パラリンピックに起因する建設需要が期待できることだろうか。いずれにせよ、3PL化やネット通販、国際物流などに対応できない企業の経営は、今後も厳しさを増すと言わざるを得ない。

 このように、国内物流においては業界再編の機運が高まりつつある。専門性、サービスの付加価値を高めるなどして改善策を検討する企業も多いが、大手企業との業務・資本提携など、他企業との連携に活路を見出す企業は増加していくことが予測される。

M&A情報誌「SMART」より、 2015年7月号の記事を基に再構成
まとめ:M&A Online編集部