東京区部といえば、東京23区のこと。これだけ数があると、東京に長年住んでいる人でも、すべての区の名前がすらすら言えるとは限らない。しかし、かつての東京には35区あったと聞けば、驚きかもしれない。

「15区」でスタートし、最盛期「35区」に

皇居は千代田区、日本最大の歓楽街がある新宿区、東京スカイツリーがそびえるのは墨田区…。そろって全国区の知名度を持つが、いずれの区名も実は戦後生まれ。1947(昭和22)年に、35区が現在の23区に整理統合されて以降だ。

始まりは1878(明治11)年。同年公布された郡区町村編制法で東京市が発足し、麹町、神田、日本橋、京橋、芝、麻布、赤坂、四谷、牛込、小石川、本郷、下谷、浅草、本所、深川の15区が置かれた。現在の千代田、中央、港、新宿(一部)、文京、台東、墨田(一部)、江東(同)の各区にまたがる。当時は東京府知事が東京市長を兼務した。

日清・日露戦争、第一次世界大戦、関東大震災、昭和恐慌などの荒波をくぐりながら、東京の大都市化が進展。1932(昭和7)年、東京市は隣接5郡(荏原、豊多摩、北豊島、南足立、南葛飾)82町村を合併し、35区制となった。

この時、品川、目黒、世田谷、渋谷、淀橋、板橋、向島、江戸川といった20区がスタート。東京市は人口約497万人と、米ニューヨークに次ぐ世界第2位の都市に躍進した。

東京都はといえば、太平洋戦争中の1943年、行政の効率化を目的に東京府と東京市が合併して誕生した。府と市による二重行政の解消を旗印とする「大阪都構想」も、東京市を廃止して特別区を配置した東京都がモデルとなっている。

東京都庁が千代田区丸の内から、新宿副都心に移転したのは1991年。東京府時代から庁舎を置いていた旧都庁跡は東京国際フォーラムに生まれ変わっている。

かつて東京府庁・都庁が置かれていた東京・丸の内(跡地には東京国際フォーラムが建つ)現在

千代田、新宿、墨田…複数区が合併して誕生

戦後の1947年3月、それまでの35区から22区に移行(同じ年の8月に板橋から練馬が独立して23区)に移行した。例えば、千代田区は麹町、神田の2区、新宿区は四谷、牛込、淀橋の3区、墨田区は本所、向島の2区が合併して発足した。

旧15区時代、皇居がある麹町区を起点に、時計回りに「の」の字を書くように区の順番が定められていた。現在の23区も千代田区から始めて旧市域の江東区まで一回りしたら、今度は外側の品川区から「の」の字に江戸川区までもう一回りするのが習わしとなっている。「の」の字の順に区名を思い出すのも、これまた難しそうだ。

文:M&A Online編集部