特定企業の商品名でありながら、ついつい一般的な商品名と思い込んで使っている場合が少なくない。例えば、「ウォシュレット」と「宅急便」。いずれも日本人には身近なネーミングだが、前者はTOTO、後者はヤマト運輸の登録商標。新聞やテレビなどではそれぞれ「温水洗浄便座」、「宅配便」と言い換えられる。

知っているようで知らない、特定商品名(固有名詞)と一般商品名(普通名詞)の関係をみてみよう。初回は「食品編」。

千葉県銚子市を発祥とする「ぬれせん」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の「緊急事態宣言」を受け、“巣ごもり”を強いられる昨今、在宅が多くなると、おやつの誘惑に負けてしまいがち。独特のしっとり感と醤油の香りにひかれるのが「ぬれせん」。実は、これも商標なのだ。

醤油産地の一つ、千葉県銚子市の米菓子店「柏屋」が60年ほど前に売り出した。その後、同様の商品がいろいろな会社から発売されたが、一般的な呼称としては「ぬれせんべい(濡れ煎餅)」が使われている。

ご存知、「味の素」はアミノ酸(グルタミン酸)から生まれたうま味をきかせた調味料。製造元が味の素であることは言うまでもない。一般的な品名は味の素の容器のラベルにもある通り、「うま味調味料」。

一見、親戚関係にも思えるネーミングの調味料がミツカンの「味ぽん」。柑橘系の果汁と醤油、酢をミックスしたもので、こちらの一般名は「ポン酢」。ポンとはオランダ語で柑橘類を意味するponsに由来する。

鍋物などで定番の「マロニー」。じゃがいものデンプンで作ったはるさめだが、女優中村玉緒さんのCMで大ブレイクしたマロニーブランドは今や、はるさめの代名詞になった感もある。製造元のマロニーは2017年、ハウス食品グループ本社の子会社となった。

「ゆかり」は赤ジソふりかけの代表的ブランド

カップ麺は百花繚乱の賑わいだが、その筆頭格の「カップヌードル」(1971年発売)は日清食品が世界に誇るジャパンブランドだ。

ご飯の友として定着した「ゆかり」。三島食品(静岡県三島市)が製造・販売する主力商品の名前だが、赤ジソふりかけでは同社の独壇場だ。同じく静岡県に本社を置き、「シーチキン」ブランドで食卓でおなじみなのが、はごろもフーズ(静岡市)。ツナ缶(マグロの油漬け缶詰)のガリバー企業として名をはせる。

“初恋の味”のキャッチフレーズで大正時代から親しまれてきたのが「カルピス」。乳酸飲料を代表する伝統のブランドだが、製造元のカルピスは2007年に味の素の子会社となり、その後、2012年にアサヒグループホールディングスの一員に加わった。

1919(大正8)年、日本初の乳酸飲料として発売された「カルピス」

酒のジャンルはどうか。「ワンカップ」は大関が1964年に他社に先駆けて発売した1合(180ミリリットル)入りのカップ酒のこと。酒に欠かせない「ロックアイス」も同様に、小久保製氷冷蔵(千葉県八千代市)のブランド名。一般名としては通常、かち割り氷と呼ばれることが多い。

文:M&A Online編集部