次に、仮に配当が実現したとして、配当落ちで相殺されてしまっては意味がありませんから、この配当余力が投資妙味を持つためには、レバレッジ修正効果で配当落ちを補って余りある株価上昇が期待できることが必要であると考えられます。そこで、DCF法を想定して対象会社のレバレッジ修正による株価上昇の理論値を算定してみたいと思います。
図表4では、現在の株価と対象会社の事業計画を元に、逆算でWACCを算定し、レバレッジの変化による株価影響額を算定しています。
図表4 配当落ちとレバレッジ修正による株価上昇の純額の試算

ケース1では、余剰現金を配当するのみでレバレッジ修正をしない場合を試算しています。この場合、配当した額だけ配当落ちで株価が下がり、投資損益はプラスマイナスゼロとなります。
ケース2では、営業キャッシュフロー(CF)5年分の借入を行い、手許現金との合計を配当する想定です。この場合、レバレッジ上昇による株価上昇効果が生じ、8.8%~8.1%の投資利益が見込めますが、ファンドの目標からすると物足りない水準となるかもしれません。
ケース3では、正常な借入の限度とされる営業CF 10年分まで借入を膨らませて返済する場合を想定しています。ここまで踏み込むと期待利益率は17.6%~16.3%となり、半年~9ヶ月程度で実現できればファンドとしては合格点の投資となると考えられます。
問題は、このようなドラスティックな財務改造が実行できるかどうかですが、現在の村上ファンド持分は5%強に過ぎず、他の株主の協力なしにはまず実現不可能と考えられます。これを実現するハードルは非常に高いでしょう。
これ以外にも、保有不動産の含み益や事業計画の改善による収益性の改善などの方法で株価が上昇するシナリオはありえますが、郊外エリア中心の店舗展開であるため、それほど大きな含み益があるとは考えにくいですし、事業計画の改善となると村上ファンドの専門外の範疇と思われますので、やはりあまり現実的ではないように見受けられます。
以上の試算から察するに、村上ファンドの思惑としては実際にアクティビスト活動で利益を上げるというよりも、自らの名声によるハロー効果で市場株価を上げ、市場で短期に鞘抜きする方向にあるのではないでしょうか。
であるとすれば、現状の株価は多少割安かもしれないものの、大幅に割安というほどではない、というのが結論になるかと思います。
文:巽 震二(フリーランス・マーケットアナリスト)
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