上場廃止寸前の「さいか屋」株で相場操縦、課徴金1300万円

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さいか屋川崎店

右肩下がりの売上にコロナが追い打ち

さいか屋の業績は低迷が続いています。2021年2月期第1四半期の売上高は前期比44.1%減の26億3600万円。経常損失が3億7400万円となりました。純資産額が8億8000万円で、自己資本比率は8.0%。時価総額10億円未満の上場廃止基準の抵触に加えて、債務超過にもなりそうな状態です。

第1四半期は新型コロナウイルスの影響が大きかったですが、その前から苦境にあえいでいました。3期連続で売上は減少し、利益も出ていません。さいか屋の株価は上昇する見込みが極めて低い銘柄だったといえます。

■さいか屋業績推移(百万円)

2018年2月期 2019年2月期 2020年2月期
売上高 19,855 19,384 18,431
増減 5.72%減 2.37%減 4.92%減
経常利益 △124 △157 △130

有価証券報告書より

さいか屋はリストラを進めています。2020年6月に希望退職者を募集。108名の応募がありました。第2四半期の決算で退職金などの費用6,100万円の特別損失を見込んでいます。

また、1928年に開業した横須賀店の閉店も決めています。2017年2月期以降は赤字が恒常化。2020年2月期の売上は65億8600万円でした。1991年のピーク時には368億円もの売上があり、1/5程度まで縮小していました。横須賀店の閉店によって35%程度の売上減となりますが、利益が出る体質になると見込んでいたものと考えられます。しかし、それも新型コロナウイルスによって先行きは暗いものとなりました。

海軍基地の繁栄を見越して開業したさいか屋

ヴェルニー公園
横須賀のヴェルニー公園(Photo by PAKUTASO)

さいか屋の歴史は古く、1867年に西浦賀で開いた呉服店が発祥とされています。海軍基地によって繁栄していた横須賀に注目し、1872年に雑賀屋呉服店を開業。横須賀での営業に専念するようになりました。

1956年川崎市に鉄骨鉄筋コンクリート造りの地下1階、地上3階の百貨店を開業したことがきっかけで、店舗数を増やします。1965年に藤沢、1967年に町田、1970年に茅ヶ崎と神奈川県を中心に出店しました。1990年には横須賀店新館を開業。ホールを入れるなど店舗の拡充を図りました。

しかし、2000年に入ったころから百貨店の売上低迷の煽りを受けました。2009年京浜急行電鉄<9006>に第三者割当増資を実施して10億円を調達したものの、債務超過となりました。この年の8月に事業再生ADRによる再建を申請し、自主再建の道が閉ざされました。2015年に主力となる川崎店を閉店。川崎日航ホテル内に出店するなど、小型化を進めていました。

縮小均衡による立て直しを目指してきましたが、新型コロナウイルスの影響が加わり、上場廃止が現実味を帯びるなど経営危機が改めて再燃した格好です。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

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