「物言う株主」のエフィッシモ

エフィッシモ・キャピタル・マネジメントは、旧村上ファンドの元社員3人が設立したアクティビストファンドで、シンガポールに本拠を置きます。運用資産額(日本株)はおよそ1兆400億円と言われています。エフィッシモのパートナー兼ファンドマネージャーの高坂卓志氏は、かつて村上ファンドの管理・運営会社であるMACアセットマネジメントでファンドマネージャーを務めていました。

エフィッシモは、欧米の機関投資家が主な顧客で、企業の合併・買収、資産売却、自社株買い、非公開化などのイベントドリブン型の戦略で、企業価値の創造を目指しています。過度な敵対的行為は避けるとしていますが、その可能性を否定していません。

〇エフィッシモが保有する主な銘柄 2020年3月19日現在

証券コード企業名保有割合提出日
<9107>川崎汽船38.99%2020/3/12
<9640>セゾン情報システムズ33.00%2020/3/5
<7752>リコー18.99%2020/3/12
<9831>ヤマダ電機13.22%2020/3/11
<9792>ニチイ学館11.40%2020/3/11

M&A Online「大量保有報告書データベース」より

エフィッシモは「物言う株主」として知られ、ヤマダ電機や川崎汽船の経営陣と厳しく対峙してきました。エフィッシモは純投資とする投資先もありますが、一部の企業に対しては経営陣への助言、重要提案も行っています。

2019年8月には、リコー株の保有目的を従来の「純投資」から株主提案などで経営に関与する「経営陣への助言、重要提案行為等」に変更し、出資比率を従来の18.16%から18.99%に引き上げました。

リコーは国内や欧州の事務機市場で高い競争力を持っていますが、ペーパーレス化で事務機の市場自体が頭打ちになりました。不採算事業の整理や人員削減で業績を回復させましたが、2015年から約1,600億円投資したエフィッシモは230億円程度の含み損をかかえるとみられ、より積極的に関与することにしたのです。

また、2019年7月にエフィッシモは、川崎汽船に社外取締役を送り込んでいます。エフィッシモは2015年に川崎汽船の大株主となり、2016年3月末には3割弱を保有。2016年の総会で村上英三会長(当時社長)の役員選任議案に反対票を投じるなど、これまで対立姿勢を強めていましたが、川崎汽船は2019年にエフィッシモから内田龍平氏を社外取締役として受け入れる役員選任案を発表したのです。

これを受け、エフィッシモは株式保有の目的を「経営陣への助言、重要提案行為等」から「純投資」に変更しました。

アクティビストは、市場構造の変化などで業績が伸び悩み、株式市場で実力以下の評価を受けている企業に出資します。株主として経営に参加し、構造改革を実現できれば、業績と株価が回復するシナリオを描きやすいからです。

欧米に比べて相対的に株価が割安水準だと言われる日本株への投資を、エフィッシモは今後も続けていくと考えられます。

文:M&A Online編集部

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